ポケモン文
□共有
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はあ、とグリーンが無意識に白い息をはいた。
俺は「室内でそういうことしちゃう?」と思いつつグリーンを引き寄せる。
まあ室内は室内でも今は十二月の下旬だし、暖房ぶっ壊れて機能してないから仕方がないか。
「……寒い」
案の定彼は引き寄せたことに対する文句は全然口にせず、今の温度に対する文句を口にした。
そりゃ誰だって寒いだろう。十二月下旬で暖房ついてないんだから。
けどまあ、皮肉なことに俺は年中半袖なので寒さには強いし、この暖房無しの生活を三日もしたのでもうこの寒さとひもじさに慣れてしまった。なのでこのくらいどうってことはない。
グリーンには悪いがまだ暖かいほうだ。
「ご愁傷様、グリーン」
「哀れむくらいならこの寒さをどうにかしろ!お前の部屋の暖房機具は飾りか!!」
「仕方ないじゃん、壊れてるんだからさ」
あまりの寒さにいつもより語気が荒いグリーンをもっと強く抱きしめ、温かさを共有するように擦り寄る。
さすがにそこまでするとグリーンも暴れるのだが、しだいにその抵抗も大人しくなった。
結局、この共有する温かさには勝てないのだ。
「やっぱくっつくのが1番だな」
「………ん」
「あー、グリーン温かい」
「…お前のほうが温かい」
そう言ったグリーンは、ぎゅっと俺の背中に腕を回した。
まるでしがみついてくるような彼に、俺はとてつもなく愛しさを感じる。
「…なんていうか、幸せすぎて死にそう」
「……そうか」
「そ。こうしてお前とくっついてるだけで、俺は幸せ」
「…言ってろ」
照れて顔を伏せるグリーンに、俺は微笑みを零す。
そしてグリーンとくっついたまま、冬の静かな昼下がりを過ごすのだ。
相変わらず部屋は寒いままだったが、共有した温かさが心地よかった。