ポケモン文

□危険思考保持者
1ページ/1ページ



(俺は悪い子ですよ)



と心の中で呟いた言葉は絶対口にはされないだろう。
たとえ偶然口に出てしまっても、俺の前を歩く彼に向かっては言えないな。
全力でごまかすに決まってる。



(でもまあ、そんなことグリーンはわかりきってるよなぁ)



長い付き合いだ。
グリーンは俺が悪い子だということを昔に知っただろうし、それを知ってもなお俺と一緒にいてくれる。
それはグリーンが全く気に止めてないだけなのか、グリーンも俺と同じ悪い子だから親近感を抱いているだけなのか、はたまた別の理由かはわからない。

俺は勝手に気に止めてないだけ、と解釈しているのだが最近になってどうも俺の「悪い」という本質が一般人と違うことに気づいたのだ。



(俺は子供のような悪さじゃないんだよ。危険思考を持つ方の悪い子なんだよ)



子供のような規則を守らないから悪い子、じゃあない。
世界から危険とみなされる考えを持つから悪い子なんだ。






最初は軽い考えだった。
ここで叫んだらどうなるか、家を飛び出したらどうなるかみたいな考え。

けどそれは段々酷くなっていき、最近になると俺が世界征服したらどうなるか、ポケモンで街一つ破壊したらどうなるかなんて考えがよぎるようになってきた。
(間違ってもそんなことしないが)








ほら、今でも。








(グリーン、)







今、ここでお前の首を全力で絞めたらどうなるんだろうな?






(これこそ間違えてもしないことだよ……)






俺は右手を握りしめる。
嗚呼聡明なグリーン。お前はとっくに気づいてるんだろう?

なら早く俺を止めてくれ。




この思考がお前から俺自信に向く前に。
そして、またお前に向く前に。





(悪い子はまだ止められる)




[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ