ポケモン文

□やる気=一般平均以下
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「はい、質問!」
「……どうしたのジュン」


日々の疲労からか疲れ気味のコウキ。ジュンはそれに気付いていたが、あえて話を続ける。


「ここ三日、ヒカリが勝負所に顔を出してないんだけどさぁ、なんか知らね?」
「……………ああ」
「お、知ってる?」
「………………」
「話せよおい!!つかお前はどーしてそんなに疲れきってんのよ!!」


つっこみつつも、ジュンは労るように隣に座っているコウキの背中を叩いてやる。自分の飲んでいたオレンジジュースも差し出した。
それほどまでコウキを労ってるのか、単にヒカリの安否のためかわからない。
だがコウキは何も追求せずにジュースを一口飲んだ。
そして口を開く。
(ちなみにこの場にいたジムリーダー、スモモとナタネとヒョウタとマイの目線はコウキに向いていた)


「…ヒカリは、」
「お、おう」


深刻そうな表情と口調のコウキに、ジュンだけではなく皆も固唾を飲む。
ヒカリが何か面倒臭いことに首を突っ込んでいるのではないか、という推測が各々できていたりもする。


「ヒカリは、」
「ヒカリは?」

「図鑑を埋めるために東奔西走してる」


一瞬、沈黙。
だがジュンはすぐさま声を上げた。彼にとっては意外すぎる理由だったのだろう。
意外といっても深刻じゃなかった、要は深刻さの度合いだ。


「なんだよー!たかが図鑑じゃねーか!」
「ヒカリの図鑑を甘く見ないほうがいいよ………。ヒカリ、ここまできといて捕まえた数が24とかだったからね……」
「はっ………?何その必要最低限のポケモンしか捕まえてない感じは」
「感じ、じゃなくて実際そうなんだよ……ね」
「……じゃ、お前のその疲労は………」
「勿論、ヒカリ」


コウキいわく突如やってきたヒカリに、一日中捕まえたポケモンを見せたらしい。
どこまでお人よしなんだ、とジュンが思ったがすぐさまヒカリ専用だということを思い出して、苦虫をかみつぶしたような表情になった。

コウキはジュンの表情に何も言わず、彼にしては珍しく机に突っ伏した。


「あ、ちなみにヒカリはエムリットを捕まえようとしてるよ……。それよりかは洞窟のポケモンを捕まえればいいのに……イシツブテとかさ」

「…イシツブテかよ!!」


あまりの初期地点にジュンは呆れた声を出した。
自分の幼なじみはどこか妙なところを面倒臭がる性格だったな、とぼんやり思い出してもいた。


彼女がここに来るときは、きっとエンペルト狙いだな……と悟ったジュンは、同じく机に顔を突っ伏して大きくため息をついたのであった。




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