ポケモン文
□ギブ、ユー
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「ああああ、あの!!し、シルバーくんっ!!」
ああ、阿呆面がさらに阿呆になってるぞゴールド。
それになんなんだよそのどもりようは。似合わない君付けまでして。
一体これから何が起こるんだ。何を起こすんだ。
「こ、これ!」
まだどもったままのゴールドが俺に向けて箱を差し出す。見た限りケーキだな。しかも高い店の。
「………明日は洗濯物を中に干さなければ…」
「うっわひっでぇ!!俺だってなぁ、こんなことしますー!」
「…何の日だっけ」
「いや特には何も」
じゃこのケーキ何だよ。
俺の誕生日なんかまだだし、特別の日なんかでもないのにこいつがケーキなんて。さらに高い店のを。
こいつの挙動には毎回悩まされる。
「……いらねぇ?」
「いや貰う。しかし何で俺にケーキを?」
「えー?感謝の証?」
「…胡散臭っ」
「うん、俺も自分で言ってそう思った。じゃ、まあ餌付けと言うことで」
「最悪だな」
苦笑しつつ、差し出されたままだったケーキの箱を受け取る。
ゴールドは俺が完全に受け取ったのを見て、すぐさまピジョットで飛び立ってしまった。
「有り難く食えよ!じゃーなぁー!!」
「台風かお前は……」
ぽつりと呟いてゴールドが飛び立って行った空を見ていたが、俺も家に帰ることにした。
(今度、あいつの好きな料理でも振る舞ってやるか)
自分でも珍しく笑っているのがわかった。
(ケーキをあげた理由は、今までの感謝とこれからもよろしくというのを伝えたかったからなんだ。市販物だけど、愛情は詰まってるぜ!)