ポケモン文

□家出
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「もう家出してやる!」


と俺らしくない上に訳わからないことを叫んでレッドの家を飛び出したのが3時間前のことだった。

そして今は彼女、ブルーの家に押しかけていた。



「自分の家でもないのに家出宣言してきて、私の家に押しかけてきたのねぇ。ふーん、へぇー、ほぉー」

「……やめろ、地味に傷つく。だってお前はシルバーと二人暮らしだから押しかけても大丈夫かな、と思ったんだ」

「晩御飯時だから、そりゃ他の家に行ったら迷惑ものね。あ、シルバーご飯できたー?」

「お前……弟にご飯を作らせてんのか……」

「だって私のよりシルバーのが美味しいんだもの。それであんたは一体何で家出してきたわけ?」

「……もうあいつには懲り懲りだ。いや、あいつが好きなあれがもう嫌で嫌でたまらないから家出してきたんだ。こんな忍耐強い俺がささやかにこの世から消えるように祈ってみたくらいだぜ。あーもー嫌だ視界にいれたくない!!ああシルバーそれしまえ!!」

「……マヨネーズ?」

「そうだマヨネーズだ!そのキュー●ーがマスコットのそれだ!レッドのマヨネーズ好きはもう病気だ病気。一回の食事でどんだけ使うと思ってんだ、お前ら。あれだ二日に一本は消費するぜ。驚異的だよなうん」

「よくグリーンは今の今まで親友やってこれたわね、褒めてあげるわ。私には絶対無理よ」

「確かにそうですね。俺も無理です。尊敬しますよ先輩……」

「ありがとうブルー、シルバー。ちょっといやマジで嬉しい」

「そんなので喜んだあんたって…」

「姉さん、話が紛らわしくなるので黙ってて下さい。……それで、先輩はレッド先輩がマヨネーズを使いすぎるから家出してきたのですか?」

「ああ。だって、だってな?聞いけよ二人とも!目玉焼きにマヨネーズはまだしも塩ラーメンにマヨネーズぶち込むんだぜ?」

「……きゃあ」

「豚骨や醤油じゃない分まだましな気もするが…」

「いやぁーね、あっさり塩味台なしな分で差し引きゼロよ」

「そこまでは許容範囲内なんだよ!そこまでは!でもかき氷にマヨネーズはさすがに無理だった!!その場の空気が固まった!………うわぁあ、思い出しただけで吐き気が!」

「あれじゃない?あんたをマヨネーズ恐怖症に陥れる罠」

「でもレッド先輩なら本気でやると思う……けど」

「あの顔はマジだった。マヨネーズ恐怖症だけじゃなくてかき氷恐怖症にもなるかもしれねえ、俺。第一かき氷にかけていいのは液体だけだって。なのに何あの固体」

「……………うぇ」

「想像を絶しますね」

「うあああ!もういやだ!俺は当分ここでまともな食生活を送るからな!」

「押しかけてそれかい」

「俺は構いませんが」

「ま、私も構わないけどね」

「すまないな、本当」


「いいわよ、やけにお喋りなグリーン見れたから。……あら、そう言えばレッドは?」

「あまりにムカついたからみぞおちに一発決めて家に置き去りにしてきた。あ、勿論マヨネーズは処分済みだぞ」

「さすがあんたね。血も涙もない冷徹な行動よ」

「…それで、そのリモコンらしきものは?」

「クーラーのリモコン」

「あ、あんた最高っ!あーっはっはっは!!!」

「ね、えさん、それ、しつれ……!クククっ!」

「思う存分笑ってやってくれ。これでレッドの情けない話がまた増える」

「笑い話一本追加ーっ!」

「今頃レッド先輩は暑さと空腹でもがき苦しんでますね。さ、ご飯にしましょう二人共」

「簡単に想像つくわぁ」

「仕方ない、あのレッドだからな」

「納得」












(今日の晩御飯はいたって普通なものだった。というかこのマヨネーズ尽くしじゃない晩御飯がいつも以上にご馳走に思えた!!つーかシルバーの飯旨い!)



普通のご飯万歳!





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