ペルソナ文

□嘘つきエブリディ
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「…ねぇ立花くん。自室でハイレグアーマーを試着したって本当…?」

「ああ」

「なんてきっぱり答えちゃうのこの子!!」



立花の解答に真っ先に反応したのは順平だ。ひいっ、と言って両手で我が身を抱えている。
質問をしたゆかりと、黙って聞いていた風花もドン引きした表情で立花を見ていた。
ゆかりに限ってはゴキブリ以下の生物を見る目で立花を見ていたりする。この場にいて反応を示した人物の中では断トツで酷い蔑み方である。
(ちなみに反応を示さなかったのは真田と天田と、そしてコロマルである。コロマルはともかく、真田と天田が反応を示さなかったのは賢明な判断だろう。こんな下らないことに反応していたら時間の無駄である)



順平の発言以降、静まり返ったままのラウンジの空気。
ラウンジでこんなことを聞くゆかりもゆかりだが、答える立花も立花だ。ということで真田と天田は心中でその二人を毒づいた。それはもう盛大に。

だがその毒づきでこの部屋の空気がどうにかなるわけではない。
相変わらず冷え切ったままだ。



(…美鶴がこの場にいなくてよかった。でないと今頃、立花の解凍作業で忙しいはずだからな)



だから美鶴、下りてくるなよ。
そう思い、真田はグローブを磨きつづける。

彼の近くでは思考能力が復旧した順平が色々と立花に聞いていた。
何色のやつを来たのか、感覚はどうだったかなどを聞いている。
彼の今後の人生で全くと言っていいほど役に立たない情報だと真田は思った。というか役に立った方が怖い。
今後順平がハイレグアーマー着用にやみつきになりませんように、と真田は祈って会話を聞くことにする。
ただ反応は示さず、あくまで聞くことだけにしたが。



「……へぇ、そんな着心地なのか。今度はメイド服でも着るのか?」

「それはいいな。今度着たら真っ先にお前に見せに行くから、楽しみにしてろよ」

「おう、楽しみにしとくわ。しかし真っ先に俺に見せてくれるのかよぉ…立花くん大好き!」

「俺もだよ順平!」



馬鹿みたいなことを大まじめに言っている馬鹿二人は放っといて、真田は何が楽しくて恋人の趣味を知らなければならないのかと思っていた。
真田がそろそろ会話を力付くでとめてやろうかと思った時、会話の内容が変わった。
未だに引いているゆかりと立花が話しんでいる。



「ところでゆかり。なんで僕にそんなことを聞こうと思ったの?」

「噂で聞いて……いやまさか本当だったとは思わなかったわ……意外過ぎる行動というか思考ね…」

「そういうゆかりだって実は執事服に興味あるだろ」

「あ、やっぱわかる?」

「あれだけ見られたらね」



ふふっとゆかりは笑う。
目は羨望の色でいっぱいだ。
それを見て真田はため息をつく。そんなに羨ましいかあの服が。
とりあえず真田は執事服に興味を示してない風花に安堵した。
風花は二年の最後の砦だろう、絶対。



「…真田先輩、今さっきから何熱心にこっちを見てるんですか?惚れ直しました?」

「ああ、そうかもしれない」

「さらっとそう言っちゃう先輩大好きですよ」



そう言って立花は真田に飛びついた。
二人とも悪戯が成功した子供みたいな、歪んだ笑みを浮かべている。
順平、ゆかり、風花は呆れたようにそんな二人を見る。

そしていまさっきから無表情な天田がぽつりと一言呟いた。



「何ですかここ毎日のセルフエイプリールフールは」








さあ、嘘つきは誰?





















(A.全員)





補足

終始嘘でコーティングされた話でした、って話。
最近は何故か皆で嘘をつきあうのがブーム。

ゆかりの嘘に悪ノリした皆が悪い。


立花→女装趣味じゃない。そもそもハイレグアーマーなんて着てない。ただ真田に対しては嘘ついてない。

ゆかり→噂自体その場のでっちあげ。別に執事服に興味はない。悪ノリしてきた立花に引いてすらいない。

順平→最初の台詞も嘘。引いてない。メイド服着た立花も特に見たくはない。立花大好きも嘘。大嘘。

風花→執事服の話題に興味無いふりしてたけど内心興味津々。ただ最初のドン引きはマジ。

真田→解凍作業は苦じゃないから美鶴に下りてきてほしかった。立花に惚れ直してなんかないです、はい。

天田→態度が嘘。我関与せずを貫き通していたが内心つっこみたかった。最後の台詞は彼の精一杯。






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