ペルソナ文

□言葉不要
1ページ/1ページ


いつもしているヘッドフォンから、女性が歌う歌がいつもどおりに聞こえる。ノリのいい英語の歌に合わせてリズムを取っているのが俺の癖だ。
因みに言うと音量は大きめ。誰の声も届かないって訳ではないが、集中しないと聞き取れない。

そのことで完二に「戦闘中の指示とか聞き取れ難いんじゃないスか」と心配されたが、そこは大丈夫。


俺に指示を出すのは最も信頼している相棒だから。


もう目を合わせるだけで次の行動の指示がわかる。そりゃあいつの伝達力が人並み外れているからかもしれないが、そこは俺と相棒の仲が恋人ということにしておいてほしい。
(夢見てんなぁ、俺!)

だから俺は今日も気軽に足でリズムを取りながら、武器を手荒に扱っているのだ。(やっぱり取り損ねたのでそっとディアラマをかけといた)


と、そこで相棒と目が合う。おお、次はマハガルダインね。オッケーオッケー。ダブルブースター王子に任せなさい!(ブースターの為にガードキルが消えました)


「行くぜ!ペルソナぁ!」


突風と共に敵がぶっ飛び霧散する。二体残ったけど、そこは相棒がどうにかしてくれるだろうと思って、頼んだぜと目線で伝える。

そしたら見事に伝わって、相棒は頷いてマハブフダインでとどめを刺していた。


(以心伝心、だな)


思わず笑うと、見事なバク宙を終えた里中が不思議そうな顔でこちらを見て来た。おいおい、馬鹿面がさらに馬鹿に見えるぞ。……なんて言わないけど。


「月森君と花村ってさ、アイコンタクトだけで全ての指示が終わるよね。……お互いがお互いをわかりあってるから指示の取り間違いがないんだよね……。いいなぁ」


なぁに、お前と天城ならいやがおうでも出来るだろうよ。
と言ってやったら里中はえへへ…とはにかんだ。うん、普通に可愛い。だけど相棒が見てるからからかうのはやめた。相棒も、待機中の天城も怖いからだ。ドSと天然腹黒って!

容易に想像できる恐怖に身震いを一つして、探索を開始し始めた相棒の横に並ぶ。(その間後ろでは妙にテンションが高くなった里中に完二が変な声を出していた)


「また次も頼むぜ、相棒」
「こちらこそ」


へへ、と笑って俺は外していたヘッドフォンをつける。相棒はもうこちらを見なかったが、俺は満足だった。


(俺達には言葉なんていらないよ、月森)


目が合えば、それでいい。





[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ