FE文
□10000hitネサティバ
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「愛が欲しい」
ネサラは唐突にそう言った。
……人にひざ枕を強要しておいて、そういうことを言うのか。
勿論、俺はうんざりして盛大なため息をついた。ひざ枕をしてやっているところが愛だろう、愛。
「俺はかなり与えているつもりだが」
「暴力的だけどな」
「……………」
言い返せない。
確かにネサラの言う通り、俺はよく暴言をはいたりしている。滅多に殴ったりはしないが、それでもネサラにとっては暴力的なのだろうか。
………いやいや。
何しんみり考えてるんだ、俺。しっかりしろ。
悪いのはネサラだ、ネサラ。いつもいつも所構わずくっつきやがって。
お前がくっついてこなかったらお前に暴言はいたり、殴ったりしねぇのに。
「ということで、俺は悪くない」
「脳内会議の結果がそれかよ。しかもどういうことかイマイチわかんねぇし」
ネサラはそう言って、腰に抱き着いてきた。
それはそれは、甘えるように。
「じっとしていられねぇのか」
「いやぁ、目の前に腰があったら抱き着きたくなるんでね」
「………………引っぱがすぞ」
「別に怪しい意味じゃないから!ちょっと抱き着きたくなっただけだから髪引っ張んな!!」
「………はぁ」
結局、今回も俺が折れることになった。
掴んでいた長い髪を離してやり、あやすように背中を軽く叩いてやる。
まるで、こいつの保護者になったような気分だ。
それはネサラも思ったらしく、ケラケラ笑いつつ俺の顔を見てくる。
「お前は母親か」
「こんな手のかかる大きな子供はいらねぇよ」
「俺だってこんな母親いらねぇよ。お前は俺の恋人っていうポジションが似合うからな」
ネサラの予想にない言葉に、顔が赤くなるのがわかる。
ああだから嫌だ。
こいつは予期せぬときに歯の浮くような台詞をさらっと言っていく。それに成す統べもなく弄ばれる自分が嫌だ。
……くそ、俺だって言い返してやる。
「…ネサラ、お前は、最高の恋人だ。その……愛してる」
最後のほうはぼそぼそと言う羽目になったが、十分ネサラには聞こえていたらしく跳び起きてきた。
相当びっくりしたのだろう、いつものポーカーフェイスはどこにもない。
「も、もう一回言ってくれ!!」
「嫌だな」
「ティバーン!!」
焦ったように俺の名を呼んだネサラに、思わず俺は吹き出した。
してやったりという満足感とちょっとした優越感で、俺の表情はかなり緩んでいると思う。
「くそ、絶対もう一回言わせてやる!!」
「頑張りようよっては言ってやるよ」
不敵に笑うとネサラは挑戦的な目で見返してきた。
さすがネサラとどこか納得した自分を無視し、俺はこれからどうやってネサラから逃げようと画策したのだった。
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歩さまへ!
ときにはリードするティバーン様でした。
結局ティバーンは逃げられません(^^)
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