FE文

□あまいかおり
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「あまい、匂いがする」



オスカーの後ろから現れたケビンがそう言った。


ちなみに今のオスカーは読書中だ。そのためいつもなら軽くあしらうのだが、どうも今回は違うらしい。



オスカーは読みかけの本を閉じて、ケビンに向き直った。
どうやら相手をしてやる気になったみたいだ。



「私から甘い匂いがするって?」



こくり。
声を出すことなく首だけで肯定したケビンは、ゆっくりとゆっくりとオスカーに近づく。



「ああやはり、甘いな」

「……個人的に自分から甘い匂いがするのは嫌なのだが」

「仕方ないだろう!匂ってるのだから!」

「表現をもう少し変えることは出来なかったのか。香るとか」



オスカーはあからさまにため息をつきつつ呆れたように頭を軽く振った。
それに少なからずムッとしたケビンはふい、とそっぽを向く。



だがすぐに向き直る。
(それはケビンがオスカーの行為に本気で怒ってないことを暗示させていた)



「何食べたんだ?……はっ!!ケーキかっ!!」

「自己完結してる上に違うからね。そうだね………せいぜいミストちゃんがくれたパイかな?」

「……物凄く羨ましいぞ」

「そう言うと思って残しておいたよ。ほら、」



オスカーが机の上から半分残されたパイを持ってきた。見た限り林檎パイだ。

予想外の展開にケビンは一瞬止まっていたが、すぐに目の前に差し出されたパイに反応を示した。
犬で言うと尻尾をひきちぎれんくらいに振るくらいの反応だ。



「さすが俺の好敵手!!オスカー大好きだっ!」

「ちょっと現金なんじゃない?」



口許を押さえて笑うオスカーに対し、ケビンは満面の笑顔だ。
オスカーの言葉にも突っ掛かることはなく、逆に何かを考えている。


そして口から出た言葉がこれだ。



「じゃ、愛してるぞ!!」



全くもって恥じらいも何もない、流しそうなほどの言葉だったが、それに続いた小さな「……何よりも、愛してる」という言葉にオスカーは思わず空いていた片腕で彼を引き寄せた。


抱き寄せられることにまんざらでもないケビンはオスカーの肩に顔を埋めながら、やはり笑っていた。



「ケビン、私もだよ」



パイを片手にもったままで多少の不自由はあったが、がっちりとケビンを抱きしめたオスカーもやはり笑顔だった。









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彰さんへ!

題名がポケモンの技名なのはそういう仕様です(笑)

……はい、謝ります!毎度こんなのですいません!!
なんだこれ甘いのか!つか別人だな!

\(^O^)/


…こんなのでよかったらもらってやって下さい!!






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