FE文

□特定人物専用スキル
1ページ/1ページ



「手が冷たい奴は心が暖かいんだとよ。アイクの妹が言ってた」


そう言ってネサラは手を差し出した。繋げってか。

普通なら叩き落としてやるのに、今日の俺は非常に寛大かつ積極的だった。
誰か褒めてくれてもいいだろう。


「お、積極的だな。褒めてやるぞ」

「お前には褒められたくなかった……」


やって後悔するこの性格を疎ましく思いつつ結局俺は手を離さなかった。
(それに機嫌をよくしたネサラが強く指を絡めてきたのにも目をつむった)


「……今日は本当にどうしたんだ?やけに積極的じゃないか」

「気の迷いだ……」


やはり恥ずかしくなった俺は顔を背ける。そうじゃないとネサラの訝しむ目線に耐え切れなかったからだ。

それにがっちり絡められた指からは到底逃げれないとも悟っていた。


「……ティバーン、」

「な……んだよ」

「こっち向けよ」


ぐい、と引っ張られて体制を崩した俺にあろうことかネサラはキスをしてきたのだ。
さすがに無理な体制だったのですぐに離れていったが俺には十分長く感じることができた。肩で息をする羽目になっているのがまた悲しい。
それに気にせず抱き着いてくるネサラにも多少悲しさを覚える。


「っはぁ、」

「あー、お前は暖かいな」

「んだよ、心が冷たいって言いたいのか?つーかそれなら心が暖かいお前が許せない」

「酷いな」


ネサラは笑う。
俺を腕の中に収めつつ、いつものような笑顔で笑う。
ただそれが嫌味などを含んでないのでかなり好印象に感じた。


思わず見続けているとネサラはある意味信じがたい事を言ってきたのだ。


「俺はいつも優しいだろ」

「はぁ?どこが?口は悪いし性格も悪いし、金にがめつくて私利私欲のためならなんだって敵に回すお前が優しいって?」


ああ、俺は間違ったことは言ってない。確実に真実だ、賭けてもいい。
他にも言えって言われたらまだ言える。裏を返せばそれほどあいつと長くつきあってきているということだが、あえてそれは考えないことにした。


「容赦ないな」

「図星だろ」

「いや、俺は優しいよ」


そこまで言って、ネサラはゆっくりと俺の顔を上に向かせていく。
あいつの顔は耳元にあった。かなり近いのと、息が耳にかかるので自分の顔が赤くなるのがわかった。

思わずネサラの服を空いている手で掴むと、ネサラは笑いつつ囁いてきた。



「俺が優しいのは、お前だけなんだよ」


「!ネサ……んん、」



なんてキザな台詞になんて甘いキスなのだろう。
恥ずかしくて恥ずかしくて仕方がないのだが突き放すことが出来ない俺は、相当ネサラに溺れているのだろう。


(……情けねぇ)


だけど悪い気はしない。


握ったネサラの手は相変わらず冷たかったけど、内面はかなり暖かかった。
俺の手は暖かいけど心は冷たくなんかなくて今も暖かい。

その暖かい原因が目の前の男にあると知った今、俺はかなり依存していることも知った。


(けど、それでいい)



(それがいいんだ)


後ろに倒されている感覚も今さっきまでしていた会話の内容も、もうどうでもいい。


不敵に笑うネサラが、俺の全てだった。




---------

4949Hitのリクでした!
いつも通り支離滅裂の上にキャラ崩壊でした!すいません!!
またキリ番踏まれたらリクエストしてください(^^*)





[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ