夢の部屋

□君へ送る。中編
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俺なんかのヘボ球を、
  彼女はキラキラした笑顔で見守っていてくれた。
        その瞳は温かかったね。


パンッッ
「廉くん、すっごーーーい!」
いつもの空き地には彼女の歓声が響いた。
こんな風に人に尊敬されたのはその時初めてだった。
う、うへへ・・・
「レンレン強いよ〜。あー手ェ痛いなぁ!」
グローブをとった利き手を痛そうに振ったルリが駆け寄った。
「ご・ゴメン。」
「ま、いいけどさ!!ね!すごいでしょ」
「うん!うん!」
##nemu1##は光を見つめているかのように瞳一杯に星を浮かべた。

「##nemu1##ちゃんもやってみなよ!案外面白いよ」

ドキッ
お、オレが##nemu1##ちゃん・・・と???
その時、無意識に心臓がバクバクしたのを覚えてる。
あれは・・・何?
「・・・私、出来無いんだ。」
「え?野球できないの?全然怖くないよ!あたしだって出来るんだもん!!」
(ルリは昔から何でも出来たじゃんか・・・)
「違くてね。私体弱くって、呼吸乱すと発作起きちゃうの。でも、廉くんがやってんの見てるだけで楽しいよ!」
ルリもオレもその子の言葉を聴いて口を噤んだ。

この子のために、
オレが出来ることは ただ一つだった。

「オレ、投げる。君のために次の試合。」
「私の・・・ため?」
「オレ、ダメピだから負けちゃう・かもしんないけど・・・2アウト満塁の場面。オレ君のため3振とる。」
「レンレンッ・・・(レンレン最近めっきり試合に呼んでくれなかったのに。しかも2アウト満塁なんてプレッシャー高い場面・・・)」

後悔はしたくなかった。
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