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□髪
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「なんで髪切っちゃったんスか?」

「…………………は?」

客のめったに来ない浦原商店に上がり込みお茶を啜っていた平子は、
店主兼恋人の突然の言葉に
一瞬対応出来なかった。

「平子さん以前髪長かったじゃないですか。
ずっと疑問に思ってたんスよ。
なんで切っちゃったのかなーって。」

「…そんなん別にどうでもええやん。
つか切ったん随分前やんか。
今更何やねん。」

隣で眉を寄せ本気で不思議そうにしている浦原を一瞥すると、
平子はめんどくさそうに目を逸らした。

「えー!?どうでもよくないっス!
僕は科学者だから一度疑問に思ったら
納得しないと気が済まないんス!
しかも僕とアナタ再会したの
つい最近じゃないスか!」

自分の冷たい反応にムッとした浦原の熱弁に、
はぁーっとため息をつくと、平子は再び
恋人の方を向いた。

「…痛いねん」

「へ?」

「…現世の服てボタンとか
そんなん多いやん。
俺のサラサラロングヘアーちゃんが絡まった時
取るん大変やってん。」

「なんスかそのどうでもいい理由」

「はあ!?」

当時の大変さを思い出しながら
正直に話した平子に
浦原の反応は冷たかった。



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