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□夢現
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すうすうと規則正しい呼吸をする浦原をしばらく見つめると、
平子は持ってきていた小さな林檎を浦原の枕元に置いた。
そして立ち上がり、庭に面する障子を開ける。
部屋から出る前に一度振り返ると、小さく呟いた。

「おやすみ、喜助。よい夢を。」


次の日の朝、浦原は太陽の光を感じて目を覚ました。
昨日程のしんどさを感じない身体をゆっくりと起こすと、
枕元に目を留めた。
手を伸ばし、小さいけれど鮮やかな林檎を手に取ると、
愛おしげに微笑んで軽く唇を寄せた。
そして立ち上がると、台所にいるであろうテッサイの元へと向かった。
夢の中で愛しい人が残してくれた林檎を食べるために。

end

→あとがき

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