銀の夢

□シャイな王子様
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「ねぇ、今日は久しぶりにデート行こうよ!」



お互いに仕事が忙しくてなかなか会えなくて、久しぶりに会ったある日の午後。


「はぁ?デートだァ?」


屯所まで迎えに行ったのに、部屋で寝転んでいる土方さん。

私に背を向けちゃってさ。

ふんだっ!

私は土方さんの背中におもいっきり飛び付いた!


「ぅわっ!!・・・ッにすんだよ、いきなり」


「だってぇー、相手にしてくれなくて寂しかったんだもん。せっかく好きな人に久しぶりに会えたのに」


「…は!?だからっていきなり抱きついてくんじゃねぇよ」


と、言いながら顔が真っ赤になっている。


「…かわいぃ」

ぼそっと私が呟いた言葉は土方さんの耳に引っ掛かってしまったようで、


「ばっ!!だ、誰が可愛いだと?!」

と、叫びながら思いっきり振り返った土方さんは、

土方さんの背中に密着していた私と
とても間近で見つめ合うことになってしまった。


少し期待して、私は目を閉じてみる。


そしてその空間に耐えきれなかったのか

「・・・・ぅわぁぁぁぁ!!!!」

と顔を真っ赤にして部屋を出て行ってしまった。



「もう、普通キスする流れじゃないのー?」

少し物足りなくて、私は土方さんの部屋で一人呟いた。


すると、


「土方さんは臆病者なんでさァ。なんなら俺が今からあつーいキスしてやりやすよ?」

後ろから沖田くんが現れた。


「いや、いいよ。キスは私から土方さんにしちゃうから」

「魅夜は積極的ですねェ。ま、せいぜい頑張ってくだせェ。もし土方さんに飽きた時は俺が相手しやすよ」

沖田くんがニヤリと笑う。

毎回こうして私のことをからかってくる。

だから私はいつも笑顔でこう言うのだ。


「私、土方さんに飽きるなんてあり得ないからね」




さて、私の王子様を追いかけに行きますか。






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