銀の夢

□届かない想い
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万事屋銀ちゃんのオーナーである坂田銀時。



初めの印象はただただかっこいいな、というものだった。
ちゃらんぽらんだなんだと言われていたが
私はそんな印象は受けなかった。

自分のルールをちゃんと持っている、芯のある人。

そう、初めて会った時に感じた。




私が銀さんに出会ったのは、依頼人だったから。

私はストーカー被害に遭っていた。
警察に相談しても自意識過剰だ、と話を聞いてもらえずに私は1人恐怖に脅えていた。
そんな時、友人に紹介されたのが万事屋銀ちゃんだった。

銀さん、神楽ちゃん、新八くんは真剣に話を聞いてくれて、ほとんど毎日一緒にいてくれた。


特に銀さんは病んだ心を癒すように私の白黒の毎日を色鮮やかに彩ってくれた。


私は銀さんのおかげでストーカーの恐怖を忘れることができたし、毎日万事屋に行くことが楽しみになっていた。


そして気付く。
私は銀さんのことが好きなのだと。

依頼人としての関係のままで楽しく過ごすことが出来たなら、こんなに苦しい想いはしなかったのだろう・・・


好きだ、そう自覚してしまうと
今まで普通に接していられたのにそれがとてつもなく難しく感じてしまう。

好きだという気持ちが強すぎてバレてしまうんじゃないか、と。


でも、そんな甘酸っぱい気持ちを抑えきれなくなる時がある。



少しでも側にいたい。
少しでも話していたい。
少しでも笑顔が見たい。

そんな小さな欲が集まって、自分の方を見てほしいと思うようになる。


私は銀さんに会う度に見つめてしまう自分を抑え、側にいたい気持ちを抑え、高鳴る心臓の音を隠すことに必死になっていた。

銀さんにバレませんように・・・

でもいつしかもし気持ちを伝えたらどうなるんだろう?

もしかして私の気持ちを受け入れてくれる?


だんだんと期待に胸踊らせる自分がいた。



そんなある日。


神楽ちゃんと買い出しに出た帰り道で

「魅夜って銀ちゃんのこと好きアルか?」
と、神楽ちゃんには珍しく真剣に聞かれた。


だから私も真剣に答えた。

「…うん、好き」

「やっぱりネ。でも・・・銀ちゃんには彼女がいるアルヨ」


その言葉をすぐには理解出来なかった。

私のことを心配してくれてずっと一緒にいてくれたのに?

それはただ、私が依頼人だから、仕事だから、そういうことだったの?

やっぱり銀さんが私のこと好きになるなんてあり得ないことだったのかな?



理解出来たのはたったひとつ。

私は銀さんの側にいられる立場ではなかったということ。
私が望んだその場所にはもう別の誰かが居る。

そのことが分かればもう十分だった……




私は神楽ちゃんにごめん、と言って駆け出した。
一人になりたかった。
少しでも夢見た自分が情けなかった。


叶うはずもなかったのに……





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