銀の夢

□3年Z組銀八先生
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ペッタペッタ――――


校内に入ると銀八はスリッパに履き替えた。
スリッパって意外と響くんだぁ、などと考えながら歩いていると…

ドスッ!

「わわわっ!」
銀八の背中にぶち当たる。

「すいません!」

謝りながらも
背中、しっかりしてるなぁ。
などと考えている。


(うわ・・・結構重症だな、私)



実は私のいた白井高校は中学からのエスカレーター式の女子高だったため、男の人との関わりはほとんどなかった。あったとしても歳の差をガンガン感じる校長や男だとしても異性には見れないお父さんぐらいだろう。



だから私は男子との共学におよそ5年ものブランクがあるのだ・・・

今まではテレビに出てくる俳優さん相手に想いを馳せていたため、少しのことでも敏感に感じてしまう。

(こんなんじゃ駄目だ。これからはクラスには男子がいるんだから!!!)

改めて決意を固め、銀八の後を行く。



しかし気を抜くと

(あぁ、広い背中。男らしいなぁ。カッコいいなぁ)



などと考えてしまう始末。



「ほら、着いたぞ。騒がしいクラスだがまぁ入れや」

ポーっと銀八を見つめながら教室に足を踏み入れる。


そして教室に入った途端―――


一瞬で甘い思考は消え去り現実に引き戻された。




(なんじゃこのクラスぅぅぅぅ!!!!!!!!!)









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