迷子の夢
□ビショップの日常
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コンコン、
ビショップはいつもの様にルーク様のいる部屋をノックする。
返事がない……
これもいつものこと。
ギィ――
「失礼致します」
ビショップが中に入るとルーク様はいつものように画面上のカイトをうっとりと見つめている。
ビショップは報告書をルーク様の机に置き、黙って立っていた・・・
「ん?ビショップ、いつの間に入っていたんだ」
ルーク様は少し不機嫌な顔をする。
「申し訳ありません。報告書を読み上げても大丈夫でしょうか?」
恐る恐る尋ねる。
ルーク様は黙っている。
了承してくれたようだ。
「今回仕掛けた愚者のパズルも大門カイトによって解かれました。おそらく腕輪の力により大門カイトの脳も刺激されていると思われます」
「そう、さすがカイトだね。カイト、その調子だよ」
部下にも誰にも見せないような笑顔をカイトに向けている。
(さて、報告も終わったし早くこの場を立ち去ろう)
ビショップは即座に向きを変える。
「あ、そうだビショップ。」
呼び止められ足を止める。
「はい」
「ボクのカイト、パズル解いてる時が一番いい顔してるよね?今度はどんなパズルを用意しようかな」
「は、はぁ・・・」
ビショップにはよく分からない。
ルーク様はいつもカイトに執着している。
異常な程に。
それはもう凄まじい。
「なんだよ、その返事。カイトに失礼だよ?」
冷酷な笑みを向けられる。
(あぁ、だったら私に聞かないで欲しいものですよ。ルーク様)
冷たいまなざしはやがて画面のカイトへと向けられ、
「なんだよ、あのチビ!!!!ボクのカイトの側でチョロチョロしやがって」
静かに怒り狂う。
「キュービック・ガロウ、ですね」
「名前ぐらいわかってる。ボクを馬鹿にしてるのか?」
「申し訳ありません」
「この、ケチャップが・・・!!!!」
ルーク様はたまにビショップをケチャップと呼ぶ。
「・・・ビショップです」
ビショップは更なる怒りに触れないようにそそくさと部屋を出た。
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