銀の夢
□3年Z組銀八先生
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私は今、銀魂高校の前にいる。
私が何故ここにいるのか―――
それはごくありきたりなこと。
"親の転勤"
それは仕方のないことだろう・・・・
まだ未成年で自立も難しいのだから。
しかし、
高校3年生という大事な時期に編入というのはいかがなものか。
私はこの編入が決まってから両親とは口を聞いていない。
もともといた白井高校はまあまあ有名な進学校だった。
そこで友達もたくさん、とは言えないものの心を許せる友達はいた。
それなのに……!!!
右も左も分からない東京に来て
名前も聞いたことのない高校の編入試験を受けた。
さらにこの編入試験は馬鹿馬鹿しい問題ばかり……
このことはさらに私を不安にさせた。
「あんな問題小学生でもできるっつぅの!」
私は苛立ちを抑えきれずに叫んだ。
「おぅおぅ、威勢がいい転校生だなぁ」
バッ!!!!
慌てて声がした後ろを振り返る。
すると、
白衣につっかけ、丸メガネにくわえ煙草、メガネ越しに見える目は死んだ魚のような銀髪の男がだるそうに立っていた。
(何なのコイツ?・・・・私のことを転校生だって知ってるってことはもしかして教師!?????……いやいや、あり得ないよね・・・うんうん)
自分に言い聞かせてから目の前の男を吟味する。
どうやら銀髪は天然パーマのようだ。
よくよく見ると顔は結構イケメン。
(死んだ魚のような目さえ輝けばこの人いいのになぁ・・・)
思考が全く違う方向へ行きかけた時、
「おぉ〜い!大丈夫かぁ?」
ハッとして意識を戻す。
「あ、俺は担任の坂田銀八なぁー。よろしく、夢野」
そういって私の頭をポンと叩いてスッタスッタと歩き出す。
私が状況を飲み込めずボーっとしていると
「お〜い!夢野、お前教室わかんねぇだろ。案内すっからさっさと来い」
「は、はい!」
思わず上ずった声が出る。
男の人に頭撫でられたの初めてだぁ
ってかやっぱカッコいいじゃない!!
でも、あんなのが担任で大丈夫なのかな?
ま、いっか!!
先程までの不安はどこへやら。
今は目の前にいる銀八先生のことで頭がいっぱいでありました。