企画

□最初はまぁ普通に。
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「とりあえず、何から歌おうか?」

「先、歌えよ。俺考えとくから」


日向は杏弥の出方を観察しようと思った。
2人きりでラブソングとか耐えられないけれど杏弥ならやりかねない。
どんな顔で聴けばいいかも分からない。


(頼むから、普通の曲にしてくれ!!デュエットもなし!!一緒に歌うのはいいけど…)



日向の心配をよそに杏弥はすぐに曲を選んだ。


(なんだ、普通にいつも聴いているやつか。)

昔からいつも一緒にいる2人は自然と聴いている曲も同じ
盛り上がったり採点競ってみたりしているうちに数時間なんてあっという間だった。


「次、なににする?一緒に歌おうか」

「うん。杏弥選んで。」

普通の友人同士のように楽しんでいた日向は完全に油断していた。だから杏弥の笑みに気づくはずもなく…



「おい!なんでコレにしたんだ!?」

「一回でいいから日向と歌いたかったんだ。」


カラオケに来たときに感じていた日向の不安は的中していたみたいで
画面に表示されてるのは恋人どうしのデュエットの定番

日向はしぶしぶマイクを掴むけれど、歌う気にはなれなかった。
恋人とカラオケに来てるんだ、歌いたくないわけではない。
でも、確実に女性パートを自分が歌う流れだし、何より恥ずかしい。


(俺も男だ!ここで恥ずかしがってどうする!?)

日向は不思議な意気込みのもと顔を真っ赤に染めて歌った。
歌うことに必死だった日向は杏弥の表情の変化に気づかなかった。

(い、今ならいける!!何より可愛い!!)

杏弥の中で何かが崩壊した。




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