企画
□例えばこの壁を越えるとか
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男子2名、女子2名。
ちょっと奇妙ではないが、人目を引く集団が賑やかに改札を通ってくる。
「ひなちゃん久し振り!!」
「「やっほー。身長伸びて無いねぇ?」」
「お久しぶりです。今日はお世話になります。」
改札の外で待ち合わせをしていた日向を見つけて、個々に、同時に挨拶をする。
声が重なって聞きづらいことこの上ない、そう杏弥はとるが、日向は慣れた様子で返す。
日向の転校先だった学校の友達がこっちに来ると言うことで、案内と共に会うことになった。
日向の恋人も見せろと言われ、杏弥も一緒だ。
彼ら4人は日向と杏弥の事は既に日向から直接聞いている上、同性も異性もどっちもいける百合がそばにいるため、特に偏見も何もない。
「皆久し振りだね!!
彼が俺の恋人の杏弥。」
上機嫌で杏弥を日向が引っ張って、4人の前に出す。
「日向!?」
日向から、その事について言うことも何も聞いてなく、普段も直接他人に言ったりはしないため、焦る。
ただ杏弥は"友達がくるから案内を手伝って?"
としか日向に言われていない。
日向は全く気にもせず、杏弥に4人を紹介する。
「身長高い方の女の子が齊藤百合、
もう片方のふわふわした女の子が赤羽鞠。
双子が空と陸。
今日は…青い服が空で、緑が陸。」
「「ひなちゃんハズレぇー」」
順番に紹介されて、空と陸がちょっとがっかりそうに一緒に言う。
「はぁ?あってんだろ。
嘘つくな。」
「「うそでしたぁ!!合ってるよぉ。
黒百合と違って、ちゃんとわかってるねぇ〜、ひなちゃんは。」」
「どっちも一緒じゃない。」
ちらっと百合の方を向いて言う空と陸に、百合は憮然として答える。
そして皆杏弥を恋人と日向が言っても特になんらリアクションはない。
そして百合の言葉で逆に杏弥は驚いた。
「あぁ、言い忘れたけど私の鞠に手出したら握り潰すわよ?」
「「いや〜ん。黒百合卑猥だぁ。」」
殺気が杏弥に向けられる。
いつものように双子は騒ぐ。
「百合もナンパは勝手にすれば良いけど、杏弥に手だすなよ!」
日向も一緒になって楽しそうに言い合う。