企画
□この出会いは必然だった
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あれは中学2年の夏休み
2人がまだ「幼なじみ」だった頃。
そして杏弥が日向への気持ちが友情じゃないことに気づき始めた頃。
その日は確か宿題手伝えと日向に呼び出されて日向の部屋に2人でいた。
自分から呼んでおいて早々に飽きてしまった日向は今にも寝そうで、うつらうつらしていた。
その可愛い様子に杏弥は自分を抑えるため必死で目を逸らしていた。
「日向、今日はもう終わる?」
「んー。」
「残りはどうするの?」
「…明日も来て」
「甘えてばかりだと……キスしちゃうよ?」
ほんの冗談だった。
多分もう、日向は聞いてないと思っていた。もし聞いていても、普段からふざけたフリをしながら自分の気持ちを伝えていた。だから日向はいつも通り「ふざけんじゃねー」って言ってくれると思っていた。
それなのに、その日は
「…きょーやなら、別にいいよ」
「…!」
驚きはした。けれどすぐに冷静になって
「そんなこと言うなら本当にするよ。」
「…ん。」
「ほんと…」
「するなら、早くしろよ!」
その日、2人はファーストキスをお互いに捧げた。
杏弥は緊張でガチガチで全く気付かなかったが、日向はずっと杏弥の顔色を伺っていた。
そして全力で唇を受け止めた。
2人が恋人同士になるのは少し先の話。
この時すでに両想いだったことに気付くのはずっと先の話。
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