企画

□二人並んで
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暑く太陽の照っている中、クーラーの効いている室内は天国だと、思っていた…

そんな愚かな考えもあった。
クーラーがあっても、暑さよりも辛いものが目の前に広がっていた。


「杏弥…ぜっんぜんわかんない」

7月の中頃、夏休みが始まったばかりの図書室は、そこそこ席も埋まり、ページを捲る音と、筆記用具の音がする。

その中の隅っこの3人用の丸い机にテキストとノートを広げ、
…片方はワークの問題を済ませにかかっていた。


「杏弥ぁ…無視するなよ。」


力なく肘をつき杏弥を見上げる。
そうすれば、杏弥はため息をつきながらも無視はしない。

(本当に杏弥ったら俺に優しいよね!!)


「…はぁ。何?
もう終わったの?」


ため息混じりに杏弥は返す。
もちろん杏弥とて日向の宿題が終わったと思っているわけではない。
そして杏弥は終わっている。


「終わってないけど、疲れた。
ね、杏弥。アイス食べに行こう?」

「まだ始めて30分くらいだろ…。全く進んでないじゃないか。」


さりげなーく手で隠していたノートとワークを一瞥する。


「疲れたよー。休憩、休憩、きゅーけーが必要であります、軍曹!!」


うつ伏せたままで、手だけあげて敬礼してみると、苦笑された。


「そもそも日向が教えてって言うから、図書室に来たのに…」


確かに俺がわからないから杏弥に電話したけどさ!!


「もっと俺に優しく!
P23までいったよ?」


担任がワークの答えをくれなかったため、答えを写せない。
その上頼みの綱の杏弥ですら写させてくれないから、半分くらい自力だ。

(半分は杏弥がやり方だけ教えてくれた。)


…放置しなかっただけ偉いと思うよ?


「きょーやぁー。」

「…まったく、しょうがないなぁ。
アイス買ってきてあげるから、P25まで頑張って。」


杏弥は日向の頭を撫でてアイスを買いに行く。


「杏弥が買ってきたアイスが溶ける前に終わらせなきゃ。」


日向はさっさと指定されたページまで終わらせ、杏弥とアイスを待つ為再び問題を解き始めた。
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