とある狐の物語

□04-岐路と選択
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月も太陽も見えない荒れ地は暗く
自分の姿さえ見えない

崩れた砂利道
道を塞ぐ折れた巨木

闇の中で鵺が嘲笑う

歩く度に
剥き出しの足が擦り切れ血が滲む

それでも歩みは止まない

痛みは感じない
疲れも感じない

空腹も 苦しみも 悲しみも
とうの昔に忘れてしまった

横道 脇道 回り道
交差しては離れていく別れ道

振り返れば流した血が赤い花弁を描く
足跡のように……

この足跡が辿り着くその先に
待ち構えているのは希望か絶望か

たった一つ
胸の中に残る想いの欠片を抱きしめて
いまはただ 歩き続ける



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