短編集

□猫と戯れる
1ページ/1ページ







にゃあー、にゃおー



『おいで!』


癒しを求めて毎日通っていたら、猫ちゃんたちがなついた。


伸ばした手に、猫たちが次々に頭をぐりぐり押し付けてくる。
これは撫でろってことかしら。

最初は撫でることも許してくれなかったのにね。
思い出してふふ、と笑った。




みんな野良のようだが、毛並みも綺麗だし健康。

指先をふわふわの毛が擽る。


抱き締めて頬擦りをした。


肌に感じる彼らの体温が心地いい。
抱っこしたまま寝たら、気持ちいいんだろうなぁ、なんて。




「***、みっけー」




声のした方を向けば、そっちにも見覚えのあるふわふわが。




『キルア!!』


「お前、めちゃくちゃなつかれてるな」



そう言いながら、彼が私のそばに屈む。
同じ目線になってくれたようだ。

キルアのさりげない優しさに、思わずキュンとしてしまう私。



『まぁ、常連ですから。…っわわ!!』



抱っこしてた猫が私の顔をぺろっとなめてきた。
それがこそばゆくて思わず身震いする。



「……ずるい」



『あは、可愛いよね。猫』


「オレもやりたい」



『え、抱っこしたいの?』



じーっと羨ましそうに、私と猫を見ているキルア。
そんな彼に、抱いていた猫を渡そうと近づいたとき



『はい、どうぞ。……ひゃ!?』




キルアの香りが鼻を掠めると同時に、

自分の頬に二度目の温かい感触。



「ごちそうさまー」




悪い顔をしたキルアが、私の耳元で囁く。

耳元に感じた彼の熱い吐息に、腰が抜けたのは言うまでもない。





(ずるいのは君の方だ―)






 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ