短編集
□猫と戯れる
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にゃあー、にゃおー
『おいで!』
癒しを求めて毎日通っていたら、猫ちゃんたちがなついた。
伸ばした手に、猫たちが次々に頭をぐりぐり押し付けてくる。
これは撫でろってことかしら。
最初は撫でることも許してくれなかったのにね。
思い出してふふ、と笑った。
みんな野良のようだが、毛並みも綺麗だし健康。
指先をふわふわの毛が擽る。
抱き締めて頬擦りをした。
肌に感じる彼らの体温が心地いい。
抱っこしたまま寝たら、気持ちいいんだろうなぁ、なんて。
「***、みっけー」
声のした方を向けば、そっちにも見覚えのあるふわふわが。
『キルア!!』
「お前、めちゃくちゃなつかれてるな」
そう言いながら、彼が私のそばに屈む。
同じ目線になってくれたようだ。
キルアのさりげない優しさに、思わずキュンとしてしまう私。
『まぁ、常連ですから。…っわわ!!』
抱っこしてた猫が私の顔をぺろっとなめてきた。
それがこそばゆくて思わず身震いする。
「……ずるい」
『あは、可愛いよね。猫』
「オレもやりたい」
『え、抱っこしたいの?』
じーっと羨ましそうに、私と猫を見ているキルア。
そんな彼に、抱いていた猫を渡そうと近づいたとき
『はい、どうぞ。……ひゃ!?』
キルアの香りが鼻を掠めると同時に、
自分の頬に二度目の温かい感触。
「ごちそうさまー」
悪い顔をしたキルアが、私の耳元で囁く。
耳元に感じた彼の熱い吐息に、腰が抜けたのは言うまでもない。
(ずるいのは君の方だ―)