短編集
□世界で一番遠い君へ
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“世界で一番遠い人って誰だろう”
だいたい見当つく。
私の大好きなあの人、ゴン。
―とっても遠い存在。
どんなに頑張ってもこの距離が縮むわけなくて、
あなたの姿はもう水平線のはるかかなたにあるわけで。
このどうしようもない「好き」さえ、
伝えることはできなくて。
そんなある日。
彼に聞いてみた。あのハナシを。
『世界で自分から一番遠い人って、誰だと思いますか』
彼は困ったように首をかしげて、
「じゃあ***は?」
と私に聞き返した。
もちろん、『ゴンですよ!』なんていえるはずもないので、えーと…なんて言って誤魔化す。
ちぇ、聞けなかったなー…。
話も終わってしまい、残念な事態になってしまった。
けれど、次の瞬間、彼の口から思いもしなかった言葉が。
「でもさ、一番遠い人って、自分に一番近い人でもあるよね!!」
ほら、
一方から見れば遠いけど、反対を見れば、すぐとなりにいるでしょ?
この世界は丸いから!!
ってことは…私にも可能性があるんですね。なんて、ね。
君にはいつも、驚かされるよ。
(だから好きなんだもの)