作文〜1〜

□直球 りずむ
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―三橋リズム―

 二人に部屋の共有スペースで一番場所をとっているもの。
「こたつ」である。二人のお気に入りのスペース。

 特に三橋はこたつの中で座った状態のままぼんやりとしているうちに
うとうとしてしまうことが多い。そのあと、必ず阿部に怒られる。
―こんなところで寝ていると風邪ひくぞ!―
それでも、ほかほかのこたつが気持ちよくて動きたくないと
ぼーーーとしていると、背後から“ぎゅ”と抱きしめられる。
「三橋――風邪ひくぞーーこのままお姫様だっこして部屋まで連れていくか?
起きねーんなら俺の部屋に連れてくぞー」と、聞こえてくる。
阿部が密着した三橋の身体はほかほかで、心もほわほわになっていた。
そのまま阿部の方に向き直り“にこぉ”と笑顔を見せた後“ぎゅ”と抱きかえす。
「自分で歩けるよーー」
「じゃ、部屋でちゃんと寝るな?」
阿部の問いにこくこくとうなずきながら立ち上がる。
少しふらつきながらも部屋に向かう。
「みはーし そっちは俺の部屋だぞーー寝ぼけるなーー」
三橋は振り返らずにふらふらしながら阿部の部屋のドアをノックする。
“トントン”
「オジャマシマーース オヤスミナサーイ」
部屋の主はこたつの前に取り残されたままゆでだこ状態に陥っていた。
「三橋っ おまっ 起きてたな・・つーか 反則だろ!!逆に寝かせねーっつーの」
 三橋は、遠くに阿部の声を聞きながら阿部の匂いいっぱいのベッドに滑り込んだ。
―阿部くんの匂いだ・・―
 そのまま、一瞬で深い眠りにおちた。
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