作文〜3〜

□春 さみし〜かんたんはむずかしい〜
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おまけ

『泉だって間違われてるじゃん』

 たまたま水谷と一緒に飯を食った時の話し。
 三橋からの電話を受けたのを見ていて言われた言葉。
『泉だって間違われてるじゃん』

 そうなのか?俺は間違われると思ってなかったから驚いた。俺は間違われてるんじゃなくて『阿部の身代わり』だって知ってたから。

 でも、水谷の考え方の方が楽でいいなって思った。だから、その時俺たちは決めた。
 今度かかってきたら、ちゃんと言ってやろうって。間違いを教えてやろうってな。

 三橋が 阿部が 本当にかけたいやつに間違わずに電話しろって。

 皮肉だな
 阿部の次が泉 水谷の次が三橋

 沖でも花井でも間にはいってりゃよかったのに・・
 皮肉もんだな・・俺たち二人は高校時代からずっとこの二人に振りまわされてる。
 迷惑バッテリーにな。




「泉くんっ。昨日はちょっと寒かったから毛布蹴飛ばさないように寝たんだよ」
「あぁ。で?」
「あと、ドライヤーが壊れたって言ったでしょ?」
「先週だっけ?」
「うぉ 覚えてた?すごい」
「なに?どうしたの?」
「昨日やっと買ってきたよ。ドライヤーも色々種類あってよくわかんなくて・・お店に人が『髪にいいです』って言ったのにしたんだ」
「それすげぇ高いんだろ?」
「たか かった です」
「髪 乾けばいいんじゃーねの?」
「お オレも そう ゆおう としたっ んだ けど・・」
「なぁ 三橋」
「ご ごめ 高いの買って」
「じゃなくて」
「ごごごめ なさい 忙しかった?」
「じゃなくて・・」
「どしたの?泉くん怒ってる?」
「怒ってねぇーけどさ。怒ってねぇけどお前これ俺に聞かせたい電話なの?」
「ふぇ?」
「前から思ってたけど・・『あ』のやつに電話したくて『い』の俺の番号押すのそろそろ止めたら?」
「ちがっちがっ 違うよっ」
「じゃ、お前そんな細かい報告高校時代俺にしたことあったか?」
「ない・・です。もしかしてご飯とか食べる途中だった?ごめ 切る ね」
「そうじゃねーよ。飯とかじゃなくて。大丈夫だし。
たださ。大学ン時もそこまで連絡してこなかっただろ?」
「うっ邪魔だった?テレビとか?デート・・だった?」
「じゃないけど・・俺はいいんだっての
そうじゃなくて。

がんばってみたらいいーじゃん?
電話ぐらいなら阿部だってうぜぇとか思わねぇーって」
「あ 阿部くんとか って だ な 泉くんにかけたんだ よっ」
「電話してやれよ。阿部に」
「用事がない し・・」
「あるじゃん。ドライヤー買ったって」
「でも・・」
「夏はクーラーの温度調節ちゃんとしてるって、秋は季節の変わり目だけど風邪引かないように気をつけてるって、仕事忙しいけどちゃんと食ってるって・・」
「そんなことイチイチ阿部くんに・・」
「言いたいんだろ?」
「やっぱり泉くん 迷惑だった?」
「迷惑じゃねーよ。でも三橋時間もったいないだろ?俺は阿部じゃないだろ?」
「泉くんは阿部くんじゃない よ」
「だったら本当に話したいやつに電話しな?」
「でも・・」
「俺がそんな電話を発明してやったよ」
「え?」
「お前が今持ってるその電話」
「これ?」
「そ!それ」
「これ この電話発明?」
「そ。その電話な。この電話切って10分以内に本当に電話したいやつに電話したらいいことがおきる。それは間違いなくいいことだ!」
「泉くん 何言ってんの?」
「信じねぇの?」
「だって・・いいことってなに?」
「それは信じてかけてみればいいじゃん」
「怒る」
「誰?オレ?あぁ・・あいつ?じゃなくてお前がかけたやつ?」
「うっ」
「信じろって。今すぐだぞ。間違って俺にかけるんじゃーねーぞ?一個上だぞ?」
「うっ・・」
「信じろ・・三橋 ちゃんと繋がるから な」
「発明 信じ る
でも でもね」
「なんだよ 信じねーの?」
「最初に なんて言えばいい か な」
「お前が今日俺に話した話しでいいだろ?」
「なに?」
「だからぁ ドライヤー買ったってさ。それもすげぇ高いやつで髪サラサラになるやつってさ」
「それ で いいの?怒られる よね」
「怒られたいんだろ?」
「怒られたくない よ。でもそれいいことかな?」
「間違いなく俺にかけるより三橋にとってはいいことだろ?」
「うっ 信じる」



 そう言って、三橋の電話は切れた。その先のことなんて俺はどうでもいい。
 「ドライヤー買った」なんてことより、もっともっと言いたいことたくさんあるだろうけど、そこまで俺は教えてやらない。
ただ、三橋が幸せになってるんならそれでいい。いつからこんなおせっかいになったんだろうな。俺は小さくため息を吐く。
それから、もう一人のおせっかいに電話してやろう。あいつらから開発と発明料を頂く計画を企てないとな・・水谷。俺たちは随分大人になったな。
それともあいつらがガキのままか・・永遠の高校生バッテリーか
自分たちで簡単なものを難しくしやがって・・それが大人になったってことかな・・

春は寂しい 大人は寂しい それでも 誰かが幸せならそれでいい それがいい

本当におしまい

14/3/8 三橋の日ですv

アベミハ会話はほとんどないです(笑)すみません
 


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