初めに
歴
小説
掲示板
|二次→
黒鉛筆。
――大好きだよ。
そう言って泣いて、
笑った彼女は、もういない。
あれから、何回春が過ぎただろうか。
どうしてだろう。
彼女を思い出そうとする度に、
彼女の笑顔を再び見たいと目を閉じる度に、
――彼女は泣いてしまうんだ。
静かに、激しく、
感情を押し殺して、喚いて、
酷く儚げに、美しく。
思い出されるのは、泣き顔の彼女ばかり。
あぁ、これで5354回目。
もう私は、
彼女がどんな笑い方をしたのかも、
思い出せない。
phantasms
(幻影)
(それとも彼女は、)
(本当に笑ったのだろうか)
ブックマーク
|
教える
©フォレストページ