涙と花片。

□ジゼル。
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僕が描いた夢


儚い戸惑いに朽ちた白は


頬を伝って河になる。





「それを"全て"だと

貴方は言ったけれど・・・





本当の"痛み"には成れない。」















否定の中にしか

存在しない君の瞳には

どんな高価な喜びも

色褪せて映る。










「君が 手を

伸ばしてくれるなら

・・・自由をあげるよ?」










「・・・望んでないわ。」










背を向けて

小さく頷いた君には

最後の言葉が届かない。















‡ジゼル。‡















悲しい人だと思った。



精一杯の虚勢の中で
荒く呼吸を続けながら
瞬きを繰り返す姿が
滑稽だった。



眠る様に、土に還った人。










「何が欲しいの?」








「・・・何も要らない。」








「何処に行きたいの?」








「・・・何処にも行きたくない。」












「・・・笑えるの?」












「・・・笑いたくない。」












「・・・悲しいの?」












「悲しくない・・・」















「・・・どうしたいの?」















「・・・貴方には解らない。」










僕には

涙さえ流せなかった。















「・・・"賭"をしましょう。」





「・・・かけ?」





「私の荒んだ瞳に

"光"を燈(とも)してくれるなら

貴方の望みを

一つだけ叶えてあげる・・・」










僕は

無い知恵を絞って

あらゆる可能性に賭けた。



時に狂おしい程の情熱を、

時に夥しい程の憎悪を、

持てる力の限りで

様々な"光"を彼女に示した。










「僕が持つ

最後の"光"・・・」










僕は彼女を抱きしめた。















「・・・やっぱり



貴方じゃなかった・・・」















私は・・・

温かい光なんて

望んで無かったんだもの・・・








「私が欲しかったのは・・・」





end。

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