涙と花片。

□太陽と月。
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小高い丘を目指す

2つの足音。





瞬きと眩暈の中で繰り返す

小さな呼吸・・・















‡太陽と月。‡















白い道に息を弾ませ
思いを募らせる太陽は





「この先に居る

あの人は 今でも

笑っているだろうか・・・」





膨らむ夢に微笑んでいた。















黒い道を ただひたすら
傷を増やしながら進む月は





「この先にある

真実は

私を受け入れてくれるだろぅか・・・」





額の汗を拭う事も出来ずに
微かな希望に縋った。
















光を辿りながら
出逢うであろう人の名前を呼ぶ太陽は願った。





ただ2人で

あの丘の上で・・・

ただ静かに

眠りたい。















闇を掻き分け
必死で糸を手繰る月は願った。





遥かな夢が

私を拒むなら・・・

私は

風になりたい・・・















太陽と月。

逆さまの2人が出逢う事はない。
彷迷い続ける道の先

辿る足跡に影はない。





あの丘に咲き乱れる

花よりも

確かな息吹は

此処にないのに・・・



それでも互いを捜し求める。



fin。

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