V.Boys

□福澤達哉 【思い通りにいかなくて】
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なんやねん。

まじでイラつくわ



【思い通りにならなくて】


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欲しいモンは努力して必ず手に入れる


これ、俺のモットーや。


でも、どないしても手に入らんモンもある



「由梨ー!今度の土曜日、ショッピングいかへん?」

「いや」

「ドライブは?」

「酔う」

「遊園地」

「人混み嫌い」

「食事」

「忙しい」

「…………」

「可愛げのないヤツや…」

「心からありがとう。あなたは可愛さ満点よ?」

「男が可愛い言われても嬉しくないねん!」




はぁ。流石に心折れるときもある

って、気付いたらもういないし…

なんやねん。思い通りにいかんくてイラつく



「福澤さん福澤さん!」


耳をそっと包み込むような甘い声
俺の栄養士さんの、愛ちゃんや。


「ん?なんかあったんー??」


「ごめんなさい…何もないんだけど、福澤さん元気かなぁって……」


しゅんと眉を下げる愛ちゃん


由梨とは真逆のタイプや


「別に謝らんでえぇで!俺も愛ちゃんから元気もらえて一石二鳥や」

にっこりと微笑む愛ちゃん
ほんま妹みたいで癒される


あ、愛ちゃんに聞いてみる手があったわ



「例えばの話なんやけど、愛ちゃんなら、デートはどこに行きたい?」


「んー…私ですか。夏は星が綺麗なんで、夜景とか見たいですね!」

夜景か、女子ってそんなんが好きなんやな…


「由梨さんとデートできることになったんですか?」


まるで自分の事かのように嬉しそうな笑顔を浮かべている


「それが誘ったのにフラれてもうたわ……」


ほんま情けないな俺


「デートの前に告白してみてはどうですか?その方が由梨さんも意識してくれるかもっ」


「んじゃ、ちょっと練習や」


「はいっ!私でいいならいくらでも」


「気付いてるかもしれへんけど……ずっと前から好きなんや。俺と、付き合ってくれへん?」


「こんなんでええかな?……………って、由梨っ!?」


そこには怒った顔した由梨がいた

あちゃー…ややこしいとこ見られてもうたわ


(ごごごめんなさいっ。私が変な事言うから)


横で必死に謝ってくる愛ちゃん

バタバタと走り去っていく由梨


でも、そんな顔するんやったら……ちょっとは自惚れてもええよね??







「由梨っ!」


一応は全日本男子バレーボール選手
由梨に追いつくぐらい簡単や


「来ないでよっ!」


「由梨、泣いとる?」


「なっ、泣いてない…」


その言葉とは裏腹に小さく震える後ろ姿



嗚呼、どうしようもなく愛しい


「由梨、俺が好きなんは…「わっ、私なら平気よ!べ…別に達哉が告白しようと勝手じゃないっ………」


勢いよく後ろを振り返り、頬に残る涙を隠すかのように振る舞う笑顔と佇まい



「だからっ……私なんかデートに誘わないでっ……!?」


「由梨、好きや」




そっと耳元で囁き、今日はいつもより小さく感じる身体を強く抱きしめた


「だから、由梨からも気持ち…聞かせてくれへん?」


「私も…達哉が好き」


「今週の土曜日、夜景、見に行かへん?」


「喜んで」






-end-

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