君と繋がりたい

□温かな風
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靴を履き替え外に出ると、運動部が声を上げながら練習している。
冷たい風が頬をかすめ、ブルッと身震いをし
防寒具を持ってきていない俺は制服のポケットに手を突っ込んだ。

息を吐けば冷たい空気が白くなる。

早く温まりたくて、歩く速度をいつもより少しだけ早くして歩いていたら
後ろから息を切らしながら友人が走って来る。

「はぁ・・・、お前なぁ、せっかく人が待っててやったのに何で置いて行くんだよ」

友人はとても暖かそうな格好をしていた。
上着は来ていないがマフラーと手袋をしていて。
こんな寒い時期に何も付けていないのは俺くらいだろう。

2人並んで帰っていると友人が
ふと何かを思い出したように問いかけてきた。

「お前さ、最近よく学校で寝てるよな。
ちゃんと家で寝てんの?」

実は最近あんまり眠れない、なんて言ったら
きっと心配してくれるんだろう。
そう思い、曖昧に答えた。

「ちゃんと寝てるよ」

ニコっと笑って答える。
笑わなければよかった、などと思ったけれど遅かった。
すぐに作り笑顔だとバレてしまう。

「そんな作り笑いで俺を騙そうなんて10年早い!・・・で、どうした?仕方ないから相談に乗ってやるよ」

いつもこうやって何でも見透かしてくる。
本当は心配をかけたくないんだが、コイツ相手には無理だろう。

「何でもねーよ。ただ遅くまでゲームしてるから学校で寝てるだけ」

また俺は嘘を付く。
コイツに嘘を付いても結局はバレてしまう。
意味はないかもしれないが、誰かに心配をかけるのは嫌なんだ。
迷惑になるようなことは避けたい。
それでも、コイツは突っかかってくる。

「・・・心配かけたくないのは分かるけど、
俺が勝手に心配してるだけだ。
言いたくないならいいけど、逆に心配なんだ」

「・・・」

思わず無言になってしまう。
こんな風に心配してくれるのはコイツくらいだろう。
それでも俺は、何て言えばいいのか分からなくて
無言のまま歩き続けた。

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