キリリク

□メッセージ
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気に入らないなら意味なんてかえてしまえば良い。

伝える手段なんて何でも良い。


大切なのは気持ち…
ただ、それだけ






【メッセージ】






「コゲ犬ー、辞典貸して〜」


猿野がそう言いながら犬飼のクラスを訪ねてきたのは昨日のこと。


以前までは忘れ物をしたとき借りに行くのはほとんど子津の所だったのだが、付き合い始めてからは犬飼の元へ来るようになった。

そんな猿野に犬飼は内心嬉しく感じながら表には出さずに呆れた表情を作り溜息を吐く。

 
「ハァ…とりあえず、忘れ物多過ぎだろ。本物の猿より学習能力低いんじゃねーか?」


「うっせーよ。一々説教しやがって、モミーじゃねんだから」


差し出された辞典を受け取りながら、借りる側なのに態度のでかい猿野。


「あ?大体な…」


ほっといたらいつまでも続きそうな口喧嘩。
言うなればただのイチャつきなのだが、それを授業の開始を告げる鐘の音が遮る。


「っと、ヤベ!!サンキュー、じゃな」


慌てた様に踵を返し自分の教室へと帰って行く猿野に犬飼はまた一つ、小さな溜息を零した。




 
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