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□君の好きなとこ(ヒバツナ)
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思わず繋いだ掌。
背後に居る彼の顔が困惑しているのが容易く目に浮かんだ。
「ヒ…ヒバリさん?」
さて。連れ込んだは良いけど、これからどうしようか。
とりあえず向き直り、その姿を観察してみる。
「腕、細すぎるんじゃない?それに皮膚も薄すぎるし…よくこんなんで今まで無事でいられたね。」
思っていた事が口を吐いて出る。掴んだままの手首に視線を落とせば、緊張からなのか力が入って筋が浮かびあがっていた。
「でも…君はそのままで良いよ。」
「………?」
「僕が。君を守ってあげるから。」
最初の部分を強く言って瞳を見つめると、ふいに、目が合った。
そしてみるみるうちに白い肌が赤みを帯て…。
意外な事に、笑顔が浮かんだ。
そりゃあもう、嬉しそうに笑ったから…
「………っ!言いたかった事はそれだけだから…。早く教室に行かないと、暗くなるんじゃないの?」
「え?…あっ!本当だ!それじゃあ…失礼しますっ。」
彼は頭を下げてから応接室を出ていった。
今度は何故か自分の顔が熱を帯ていた。
「結局、何も言えなかったな。」
言いたい事は、たくさんあるのに。
いつも目の前になると何も言えなくて。
僕は君の前では
とてつもなく、無力になるらしい。
END
→あとがき。