×27

□君の好きなとこ(ヒバツナ)
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思わず繋いだ掌。

背後に居る彼の顔が困惑しているのが容易く目に浮かんだ。


「ヒ…ヒバリさん?」


さて。連れ込んだは良いけど、これからどうしようか。


とりあえず向き直り、その姿を観察してみる。


「腕、細すぎるんじゃない?それに皮膚も薄すぎるし…よくこんなんで今まで無事でいられたね。」


思っていた事が口を吐いて出る。掴んだままの手首に視線を落とせば、緊張からなのか力が入って筋が浮かびあがっていた。


「でも…君はそのままで良いよ。」


「………?」


「僕が。君を守ってあげるから。」


最初の部分を強く言って瞳を見つめると、ふいに、目が合った。


そしてみるみるうちに白い肌が赤みを帯て…。


意外な事に、笑顔が浮かんだ。


そりゃあもう、嬉しそうに笑ったから…



「………っ!言いたかった事はそれだけだから…。早く教室に行かないと、暗くなるんじゃないの?」


「え?…あっ!本当だ!それじゃあ…失礼しますっ。」



彼は頭を下げてから応接室を出ていった。

今度は何故か自分の顔が熱を帯ていた。


「結局、何も言えなかったな。」


言いたい事は、たくさんあるのに。

いつも目の前になると何も言えなくて。



僕は君の前では



とてつもなく、無力になるらしい。





END


→あとがき。
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