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□Never say good-bye(10年後獄ツナ)
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最近嫌な予感がするんだ。


オレは多分


死ぬ。









「10代目!何処に行かれるんですか!?一人じゃ危険です!」


天気は生憎の雨で部屋の中まで木霊する水音に嫌気がさして部屋を出て外に向かう途中、獄寺君がオレを呼び止めた。

なんでこう、心配性なのかな。

オレの事に関して特に勘の良い彼はいつも心を見透かしたかのように、タイミング良く声を掛けてくる。


「うん、少し散歩しようと思って…獄寺君はこんな所で何してたの?」


「散歩だなんて!一人じゃ危険すぎます!」
オレの問いには全く答えず、散歩、という言葉を出した瞬間物凄い剣幕で叫び肩を掴んで来た。


マフィアのごたごたに巻き込まれ始めてだいぶ経った。最近じゃ新しい武器なんかも出来て、決して笑って見過ごせない状況が続いている。
ボンゴレももはや最強のファミリーでは無いかもしれない。

そうすると、狙われるのはまず先にボスであるオレだろう。

きっと獄寺君もそう思ってるのか、最近は更に行動の一つ一つに目を光らせていた。



「本当にただの散歩だから。大丈夫…必ず帰って来るよ。」
何年経っても変わらない犬のような顔をする獄寺君に思わず笑ってからそっと肩にかかった手を離した。


散歩の先はミルフィオーネファミリーのアジト。
向こうは和解の為の会合を要求して来た。

それで全てが上手く行くなら、皆が狙われずに済むなら。


万が一オレが殺されても京子ちゃんやハル、父さんも母さんも。みんなみんな無事で居られるように、手筈は整えてある。


唯一気掛かりなのは…


「いけません!10代目は今、大変危険な状況なんですから…。せめて俺をお供に連れて行って下さい。」


「獄寺君…。」
君はオレが居なくなっても大丈夫なのかな。

「悪いけど、今は一人で居たい気分なんだ。ごめんね。」



答えを聞かずに背を向けて出口へと向かった。顔を見ると、離れたくなくなるから。



溢れ出そうな涙を堪えてドアを開けた。


傘は持たずに道を歩こう。

きっと、雨が涙を隠してくれる。












ミルフィオーネのアジト。

響く銃声。



ごめん、獄寺君。やっぱり最後に君の顔、見れば良かった。

痛みが段々薄くなって、体が動かなくなってくる。


もうこうして君の事を考える事さえ許されない。


さようなら、獄寺君がどうか幸せになりますように。


我儘を言うなら、オレの事をずっと愛していてくれますように。


ずっと…愛してる。





冷たくなったツナの体。獄寺がそれを迎えに行くのは、ツナが息を引き取った直後だった。

雨はいつの間にか上がって、並盛には雲一つ無い青い空が広がっていた。



END
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