創造への軌跡book
□ブレスで一発!
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「ほぇ〜、ココがアドリビトムね〜。セネセネってばいい所に拾ってもらってたんだ」
「とりあえず姉さんの所に報告を……って、あれ」
ノーマを連れて、ようやくバンエルティア号まで辿り着いた。ノーマが採掘したという袋は想像以上に重たかったけど、なんとかモンスターにも苦戦せず。これもブレス系爪術士であるというノーマのおかげかもしれない。
ついでに言えば、爪術というのはセネルやウィル、シャーリィが使う特殊な術らしい。アーツ系は私たちで言う体術、ブレス系は私たちで言う魔術のような技を使い、その力は主に素養があるかどうかで決まるんだとか。
そういえば坊っちゃまやルカたちの魔術は天術と言い、キールやメルディの魔術は晶霊術と言うらしい。地域によっていろいろと力が違うらしいけれど、私の力もまた、みんなとは違うようで。それを悩んでた時期もあったけれど、とりあえず今は関係ない。
なぜなら、私が考えを巡らせる以前にもっと大切な事があったから。
「あらレツ、遅かったわね。しいなさんが来てるわよ?」
「あ、あんた!あの時クラトスと一緒にいた…」
「レツだよ。いらっしゃい、しいな」
ホールに入った途端、まずその大人数に驚いた。姉さんのカウンタをたくさんの人が囲んでいて、しかも知らない人もたくさんいる。そしてその中に、この前知り合いずっと来船を待っていたしいながいたのだ。
「しいなさんたちが、アドリビトムに参加してくれる事になったのよ」
にこりと笑う姉さん。またメンバーが増えた事が嬉しいのだろう。
私たちが現れた事で、その新しいメンバーさんたちは親切にも自己紹介をし直してくれた。赤い服を着た青年がロイド、金髪でふわふわした印象を持つ可愛い子がコレット、小柄なのに落ち着いた雰囲気を持つ可愛い子がすず。ついでに、一緒になってノーマも自己紹介を終わらせてしまった。
「それで、本題なんだけどさ。精霊の居場所は文献から特定しておくれよ」
精霊!?とノーマが騒ぎだすのをセネルが抑える。確かに普通の人が聞けば驚く内容だ。でも、私たちはその情報を待っていた。
「コレなんだけど……暗号になっていて、あたしでは正確にわからないんだ」
「ありがとう。文献の解読はみんなで行うわ」
申し訳なさそうに言うしいなに優しく微笑みかける姉さん。だって、ウチのギルドにはいろんな分野に長けた科学者たちが揃っているから。資料さえあればこっちの物である。
「それじゃあ、部屋に案内するね。えっと、ノーマさんはセネルくんたちと一緒でいいのかな?」
「あ、オッケーでーす」
私は姉さんに頼まれ、しいなたちを部屋へと案内する。ノーマの方はセネルが案内したようで、とりあえずは一段落、という感じだ。
自室に戻り、なかなか疲れたなーと思ってベッドのオサム君にダイブする。その横では坊っちゃまもベッドに転がっていて、Gもパタパタと机に飛んで行った。
まどろみの時間……かと思いきや。
「レツまる〜、遊びに来たよ〜」
ヤッホーと手を振りながら現れたのは、ついさっき部屋に案内されたはずのノーマ。
「お前、なんでこんなすぐ来ンだよ……」
枕に顔をうずめながら坊っちゃまがボヤいた。坊っちゃまはどうやらノーマのノリがまだ掴めていないようで、さっきのクエストの間も少し話し辛そうにしていた。……たぶん、自分が仲の悪い人の知り合いであった事と、あのあだ名に怯んだ事が大きいんだろう。
「あっれ〜、なんでパっちも一緒なの?2人って同郷?」
「いや、ただのルームメイトだよ」
ふーん……と言いながら、また何かを考え始めるノーマ。その顔は真剣そのものだったんだけど、すぐにパッと笑顔になって。
「んじゃパっち、ちょっとレツまる借りるわ。じっちゃんと留守番しててね〜」
「あ?おう、勝手にしろよ。……てか、まさかずっと"パっち"呼びかァ?」
『じっちゃん……おじいちゃんみたい……』
2人の文句(Gの場合は聞こえていないだろうけど)を無視して、私を引っ張り出して行くノーマ。どこか話が出来る所を探してるみたいだったから、私は展望台へノーマを誘った。
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