創造への軌跡book
□大きく息を吸って、
2ページ/5ページ
-06:30-
「おいこら不良ー、朝ご飯食べるよー」
「あァ?……もっぺん寝かせろ…」
「……今すぐ来ないと、チェスターと同じメニューになるよ。なーんかみんな、アーチェのより先に私らの食べちゃうからさー」
「行く行く、行きます」
-07:30-
「スケベー、アップル10個だってー」
「はァ!?まだこんな時間、」
「朝クエストが日課なんですー。黙ってついて来い」
『朝のコンフェイト大森林は綺麗だよー?』
-10:00-
「いつもすみません、レツさん。……おや?今日はスパーダさんも一緒なんですね?」
「まーね。……今日もよろしくーバンエルティア号。ん、クィッキーの毛発見」
「ううう…あのフサフサ……ッ!!あ、スパーダさん!!もっと丁寧にお願いしますよ!!」
「あーごめんねチャット。坊ちゃまお育ちがよろしいから、掃除に慣れてなくて…」
「…だーッうっせェな!!丁寧にやりゃいいンだろ!?」
-10:30-
「今日の当番はリカルドさんでしたか。何か手伝いましょうか?」
「……?厨房は当番の者とベネット、プリングスが担当すると聞いていたが?」
「この人数分だと厳しいですから。皮むきとかの雑務を引き受けるんです」
「なるほどな。…すまないが、頼んでもいいか」
「もちろんです。…ほい、坊ちゃまの分のジャガイモ」
「マジかよ…」
-13:00-
「そんじゃ、魔物討伐に行きますか。カノンノ、準備はオッケー?」
「うん、大丈夫だよ」
「よし。坊ちゃま、G、カノンノは何としても守り抜くんだよ?」
「当たり前だろうが」
『もちろん』
「ちょ、ちょっとレツ…!!」
-15:00-
「レツさま、スパーダさま。今日のおやつはプリンですよ」
「ありがとうロックス。…うん、美味しい」
「…おい、ユーリの奴見ろよ。アイツあれで何個目だ?」
「大丈夫、リッドも似たような物だから。ほら不良、さっさと食べちゃってよ」
「……おう」
-15:30-
「“同窓会名簿がブラウニー坑道にある”って……どんな事態なんだろ」
「…気にしたら負けじゃね?」
「まったく…なんでボクがレツとクエストに……」
「キール、最近研究ばかりでクエスト出てないからなー。アンジュに怒られる前に出た方がいいよ!!」
『あ、キール。せっかくだから新しい術教えてくれない?』
「あ、あぁ。任せてくれ」
「…なーんか、私とGじゃ態度違うんだよなー、キールって」
-17:00-
「ジュディスさん、はい。ジュディスさん達の洗濯物です」
「あら。どうもありがとう、レツ。…今日は帽子の彼も一緒なのね?」
「おらよユーリ、野郎モンだ」
「悪ぃな。大変そうだな坊ちゃま、俺も手伝ってやろうか?」
「いらねェよ!!…ケッ、どいつもこいつも坊ちゃま坊ちゃまって…」
「まぁまぁ坊ちゃま、次行こうよ」
「テメェいい加減にしろってンだ!!」
-18:00-
「いただきます。……どしたの坊ちゃま、何か疲れてない?」
ナナリーの作ってくれたご飯を前に、どんよりと負のオーラをまとう不良貴族。スプーンを握る手にはあまり力がなく、いまにも倒れてしまいそうだった。
「お前……いつもこんな生活してンのか…?」
「ん?まぁそうだね。たまに夕飯の手伝いもするけど」
私の言葉に、げっそりとため息をつく。そして呆れたような声音で「こりゃアンジュの選択は正しいぜ、」と独り言を言う。独り言を言うとハゲるよと心の中で忠告しながらも、シチューをすくい口に運ぶと。
どこか兄貴モード(ルカやイリアといる時に見せる、頼れる兄貴状態のこと。2人の恋を応援してくれるから、私の好感度はとても高かったりする)の入ったスパーダが、私を見てニヤリと笑った。
「今日はお前に付き合ったからよ、明日は俺に付き合え。いいよなァ、ルームメイトさんよォ?」
とりあえず断る理由もなかったから、黙って頷いておいた。それに満足そうに笑ったスパーダは、忘れられてた食事を始めるのだけれど。
(うーん……?)
朝食や昼食でも感じた事だけど、その腕はなんだかぎこちなく感じた。
.