創造への軌跡book
□大きな樹の下で眠る
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その顔は嬉しそうで、悲しそうで。すごく優しい顔。
「俺はお前が相談してくれて、嬉しかったぜ?」
「……ッ」
息が詰まった。ティトレイの笑顔が嬉しくて、安心して。そしてやっぱり、申し訳なさも消えなくて。
「お前がウダウダ言った所で、誰も迷惑に思わねぇって。アドリビトムは家族だろ?…もっと兄ちゃんを、信じてくれたっていいんだぜ?」
ニカッと、冗談めかして笑う。
不思議なもので、ティトレイの笑顔を見ると安心する。本当に、心の奥底まで広げて受け入れてくれるような笑顔。後悔していた自分を許してもいいかなって、少しだけ思わせる。
申し訳なさが消えた訳ではないけれど、その笑顔に幾分か救われて。力が抜けて、ズルズルと床に座り込んだ。それに合わせて、ティトレイも私の横に座る。
「俺は実際見てねぇから、細かい事はわかんねぇけどよ」
「うん」
「そんな気にしなくてもいいんじゃねぇか?」
「そうかな?」
「おう!まだ何もわかんねぇし、思い出してから悩めばいい。考えすぎかもしんねぇしな!」
「全く、それだからティトレイは楽観的なんだよ」
「そうか?でも実際、わかんねぇんだから仕方ねぇだろ?」
「ま、そうなのかも」
「どーせ後から悩むんだ。悩む材料が揃うまでは、気にすんなよ」
「うん」
「そんときゃまた、兄ちゃんが一緒に悩んでやるからよ」
「うん」
部屋の壁際で、二人揃って地べたに座って話した。自分の悩みを、今度は素直に相談することができた。
とても恥ずかしくて、とても落ち着いて。
合わせた肩からティトレイの温もりを感じて、悲しくないのにもう一度、涙が一筋流れた。
大きな樹の下で眠る
(“兄ちゃん”、“兄ちゃん”)
(ん?どしたー?)
(いや、出来の悪い兄だなーって)
(何だとー?お前こそ、可愛くねぇ妹じゃねえか)