創造への軌跡book
□貴方の希望は
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「あ〜……暑いぃ〜…。汗で体はベタベタするし、砂で口はジャリジャリするし…」
「…ッとに、アチぃ……」
容赦なく照りつけてくる太陽。
今回の依頼はココ―――カダイフ砂漠のオアシスに、魔物を捨てる仕事だ。以前出会ったジョアンさんと同じ、モラード村の村長からの依頼。あまり聞かない、不思議なタイプの依頼だった。
「あーーー、もうッ!面倒くさいわね!あたしが何発か弾撃ち込むから、もう依頼をこなしたことにしちゃいましょうよッ!」
「駄目だよイリア。それじゃあ、完璧に依頼をこなしたことにはならない」
ケージに向かって銃を構えるイリアを、クレスがなだめる。そう、あくまでこの依頼は「魔物を捨てる」仕事。倒しては駄目なんだそうだ。そしてまた、「ケージの中を見てはならない」という約束付き。
どうにも気になる依頼だ。明らかに、何かがおかしい。でも、だからといって契約内容を破っては、アドリビトムの信用に関わるから。納得がいかなくても、先に進むしかない。
砂漠に入ってすぐ。目の前に、大きな砂煙が立っているのが見えた。先頭を進んでいたスパーダが、足を止める。
「あー。こりゃ、ついてねぇなぁ」
呑気に声を上げるスパーダの目線を追うと、ソコには大きな大きなミミズらしき物。蟻地獄の中心にいるソイツは、目の位置はわからないけれど、明らかに私たちを睨みつけていた。
ケージを引いていたクレスは剣を抜き、戦う姿勢に入る。一方イリアは、それを見てあからさまに嫌そうな顔をした。
「えぇ?アイツにさっさとケージ投げつけて帰りゃいいじゃない!」
「大丈夫、イリアは私たちが守るから!ルカじゃなくて悪いけどね!」
「はぁ!?そーゆー意味じゃないしッ…何でルカが出てくんのよッ!!」
走り出す後ろで、イリアの怒声が聞こえた。私の横ギリギリを銃弾が通るから、たぶん照れてるんだと思う。…でもちょっと危ないなぁ、なんて。
その横では、スパーダが面白そうに笑っていた。
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