創造への軌跡book

□奇跡の存在
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「今回の任務は…そうね、ファラとマルタ、リタに行ってもらおうかな?」

「え!?姉さん、私は?」




ジョアンさんを、無事バンエルティア号まで送り届けて。リーダーの姉さんを紹介すると、ジョアンさんは早速依頼を申し出た。

その依頼は、私たちも聞いた通り護衛の依頼。ブラウニー坑道の奥地まで行きたいけれど、あそこは魔物が多いから。でも、その理由は何とも不思議な物だった。ブラウニー坑道の奥地には、病を治してくれる存在がいるそうで。その存在に会うために、護衛の依頼に踏み切ったらしい。


「病を治してくれる存在」。それが気にならないと言えば嘘になるけれど、何より。彼にアドリビトムを紹介した責任者として、着いて行くべきだと思ってたのに。




「あなたは最近、生物変化現象についての任務をたくさんこなしているでしょう?たまには休まなきゃ。…ね?」

「そう、だけど…」




確かに私は、最近ずっと任務に出っぱなしだったかもしれない。でも、あんな状態のジョアンさんを見てるから。放っておくわけにもいかないと思う。

私が姉さんの前で渋っていると、後ろからバタバタと足音がした。




「じゃあよアンジュ、俺が行ってもいいか?レツもそれならいいだろ?」

「ティトレイ、」




ティトレイが、水筒やら何やらをゴチャゴチャとリュックに詰めてやって来た。休憩をたくさん取りながら進むつもりなんだろうけど、その表情はまるで小さな子供のようで。思わず吹き出すと、ティトレイは不思議そうに首を傾げた。




「そうね。それじゃあ、ティトレイ君も入れて4人に行ってもらおうか。ティトレイ君、ジョアンさんに怪我をさせたらダメよ?」

「大丈夫だって!俺に任せとけよ!」




じゃ!と手を挙げ、甲板へと走って行く。あのリュックを背負って戦うなんて、と思ったけど、わざと黙っていた。



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