創造への軌跡book

□大きな樹の下で眠る
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―――ポス。


もう一度、頭に衝撃。

これはきっと、ティトレイの右手。















ふと、我に返った。



「――――――ッ!」




カアッと全身の体温が上がっていくのがわかる。血液が沸騰して、それが全て頬に集まっていくかのような。多分私の顔は真っ赤なんだろうな、なんて思う暇もなかった。

ガタリと立ち上がり、ベッドから下りて距離を取る。そんな私を、実に不思議そうな目でティトレイは見ていた。




「……?何やってんだ?」




ティトレイは、私が立ち上がった事で振り払われた手を行き場がないようにふらつかせている。




「あっ……とー、……まぁ、うん。その、ね?……今話した事は、…全部、忘れて欲しいかなー…」




ティトレイに背を向け、壁に頭を当てた。ああ、冷たい壁が気持ちいい。

どうして、こんな事をするかというと。



(……は、恥ずかしい!ものすごく!)



ふと我に返って気が付いたけど、私、かなり恥ずかしい事言わなかった…?いや、絶対言った。勢いで。何かずらずらと言ってしまった。




「いや、ホントごめん。愚痴とか言うつもりじゃなかった。ごめん。ホント忘れて…!」

「はぁ?」




ティトレイの間の抜けたような声が返ってくるけれど、そんなの知らない。今はただ、自分が恥ずかしい。


あああ、何でこんな、メソメソぐだぐだと話をしたんだろう。意味が分からない。ああ、恥ずかしい。人に言ったって迷惑だろうに、…というかそんなキャラじゃないのに。何面倒くさい事を言っているんだ私は!


グルグルと、今更無意味な後悔が頭の中を回っている。何度でも言うけど、すごく恥ずかしい。今ティトレイはどんな顔をしているんだろう?面倒くさい事聞いたなって、嫌な顔をしているんだろうか。私がネチネチと話していた間は?



はぁ。ティトレイの方から、ため息が聞こえた。




「、だからごめんって!忘れて忘れて、こんなどうでもいい話。お詫びに今度の買い出し当番代わるからさ!」




バッと振り返り、慌てて言うけれど。なんだかいたたまれない気持ちになって、すぐに視線を落とした。

あのお人好しなティトレイでさえ、ため息をつくなんて。恥ずかしさと後悔で、また頬が熱くなった。




「…お前さ、ふざけんなよ」




ティトレイはゆっくりと立ち上がり、私の方へ歩いてくる。その声はいつもより低くて、怖くて顔色も伺えなくて。ごめんなさい、ごめんなさいと意味もない謝罪が頭を回っていた。

完璧に私の真ん前に立ち、視線がかみ合う。そうして私は、ようやくティトレイの顔を見た。



その顔は、私にとって想像していなかったもの。


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