*短編集*
□雨の日の奇跡/風丸一郎太(14)
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_______ザーーーーーーーーーーーーー
「晴れだなんて、嘘じゃん…。」
今日の天気予報は、晴れだということで傘を持ってこなかった私…その結果がこれ。
いつもは置いている、置き傘もなく…濡れて帰ろうとしていた。
今日は、吹奏楽部がお休みでサッカー部の練習を見に行くはずだったのに、この雨じゃあサッカー部の練習もなく私は憂鬱な気持ちで靴箱に向かった。
風丸君のサッカーしてる姿見たかったな。
ふと、そう思っていると目の前に風丸くんの顔が。
「苗字、今帰るところか?」
「わっ!風丸くん//」
「あ、びっくりさせた?悪い;」
風丸君は、悪くもないのに気づかってくれる。
本当に、優しくって、素敵だ。
「いや、悪くないよ!」
「あれ、傘は?」
「…忘れちゃって。」
アハハハと苦笑いを浮かべる私に風丸くんは衝撃的な言葉をかけた。
「一緒に入ってく?」
少し迷ったけど、こんなチャンスはないと思ってお言葉に甘えさせてもらった。
それからは、他愛もない話をして帰っていたけれど私にとってそれが幸せで仕方がなかった。
「雨もいいもんだな。」
風丸君は、ふと言う。
「なんで?サッカーできないでしょ?」
「それは、そうだけどさ…こういうふうに苗字と話せるだろ?楽しいと思って。」
「…私も//」
風丸君は、意味も無く行ったんだろうけど私にとっては嬉しい言葉にしか聞こえなかった。
「じゃあ、またな。」
「うん、ありがとう!」
「…また、一緒に帰ろうな!」
そういうと、風丸君は風のように走り去っていった。
私の顔は、真っ赤に染まる。
ほんと、雨の日も意外といいかも…。