池袋の店
□もしも静雄が執事だったら
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ガシャアン−!!
あぁ、まただ。
これで何度目だろう。
『静雄ー。またぁ?』
「う゛…。お嬢様…、…すんません」
また静雄が何かを割った。
また…といっても、何度も壊してるんだけど…。
『まぁ、いいや。静雄、こっちにおいで。それと、割れたモノは…そこの貴女、片付けといて』
私は傍にいたメイドに片付けを頼み、静雄を連れて部屋に直行。
「…………」
静雄は怒られた犬のようにずっと落ち込んでいる。
垂れた犬耳が見えそうな位に。
『静雄。こっちにおいで。』
静雄の名前を呼べば、トボトボとだけど、しっかりした足取りでこっちに向かってくる。
「…何でしょうか…」
声ですら落ち込んでいる。
相当なショックだったか…。
ぎゅうっ…−
「…!! お、お嬢様ッ!!」
『気にしなくて良い。別に怒ってないから。それに…』
「…それに?」
『ケガ、しなくて良かった…』
私は静雄に寄りかかった。
内心、ホッとしている。
「…萌子…」
『静雄。一緒に寝よ?』
「…はぁ!?//////」
静雄が顔を赤くした。
「な、と、突然何を…ッ!!」
あれ、もしかして、勘違いしてる?
『静雄のスケベ』
「んな…ッ!!」
やっぱり勘違いしてた。
静雄は案外分かりやすい性格だ。
『クククッ…。冗談だよ。コーヒー、淹れてくれる?』
「…分かった」
2人きりになれば、静雄は敬語を使わなくなる。
「ほら、コーヒー」
『アリガト』
満面の笑みになるのは…しょうがないよね?
end.