西の店
□冷照愛伝
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『ねぇ、三蔵。暇なんだけど…何かすることない?』
「ねぇな」
俺は新聞に目を通しながら萌子の問いに即答した。
萌子は恨めしそうに俺のことを見ている。
『じゃあ、何でウチもお留守番なの?悟空たちと一緒に買い物に行きたかったー!』
「文句は八戒に言え。八戒が決めたことだろうが…」
《八戒》という単語を口に出したら、萌子は押し黙った。さすがに萌子も八戒は恐いのか…。
『…ねぇ…。三蔵…』
「…何だ…」
俺は湯のみの中の茶を口に含んだ。
『…かまって…』
「ブッ!!」
口に含んでいた茶を噴いた。
危うく新聞は汚れなかった。
『わぁッ!!ちょ…三蔵、大丈夫!?』
そう言って俺の背中を擦る萌子。
「ゲホッ…、…お前…。かまえっつってもどうしろと…?」
『え?どうしろ…って、話し相手にでもなってくれればそれでいいんだけど…』
大雑把な受け答え。
「…お前…可愛すぎ…」
俺の言った一言に萌子は顔をりんごのように真っ赤にさせた。
『さ…三蔵…っ!!///』
「…萌子…」
『な…何…?///』
萌子は顔を赤くしたまま。
「…好きだ…」
end.