本 2

□計画停電
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部屋に入ってきた不良さんを見たら、苦しいのが治まった。

「大丈夫か?」
「一緒に居てくれたら、大丈夫…。」

「…そっ、か。」

でも、ちょっとまだ距離があって…

「もうちょっと、側に来て?」
「え…」
「だめ…?」
「いや、いいけど…」

もう少し側に来てくれた不良さん。

そうだ!


「手、繋いでいい?」
「は、はぁ!?」

驚かれちゃった…

「ごめんなさい…やだったよね…」
「いや、別に、いいけどよ…」

そう言って、手を繋いでくれた不良さん。

あったかい…
もう、苦しくないや。

「ありがとう…安心する…」
「お、おう…」


あのときは、ずっと1人だったからかな、人がいてくれて、すごく心強い。
あれ…安心したら、すごく眠くなっちゃった…
ちょっと、不良さんに持たれてもいいかな、
不良さんの肩に持たれると、

「なっ、…どう、した?」
「ねむく、なっちゃった…」
「あ、ああ…、なんだ…」
「…え?」
「べ、別に…
おら、いてやるから…寝ていいぞ…」

不良さんのあいている方の手で、ガシガシと頭を撫でられた。

それがまた気持ちよくて…僕は、眠りに落ちた…。












******

「――これ、すっげぇ進展じゃね?話しかけることすら出来なかった俺が、手、繋いでるし、こんなすぐ側にいるし…
あーもう…、
ほんと可愛いやつ…」


不良さんの頭を撫でる手つきが、優しくなり、さらに俺を引き寄せた事は、知りませんでした。





そしてそれから、俺は停電でない日も、明かりを消して寝る事にしています。
節電もありますが、暗闇でも大丈夫になったからです。




一緒に、寝てくれる人が出来たから…。




―完―
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