本 1

□上編
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何時までも床に座っているのは流石に痛い。治療したい。特に右頬。
会長の野郎…本気で殴りやがったな…!
床もつめてぇし…鏡音先輩にも会えないし…マジ最悪!

「腫れてる…宝永、大丈夫か?」

いつの間に目の前に移動してたのか長谷川、お前は忍者か。
何気にてぇ出して…その手を掴んで立ち上がれ、と?

しかし長谷川!俺は毬藻は好みじゃないんだよ残念だったな!

出来ることなら鏡音先輩あたりをハスハスしたい。ハスハスされなれてない鏡音先輩が挙動不審に成るのを見てもっと…と思考回路ぶっ飛んでたな

まぁ、そおゆうわけで

「大丈夫だよ?長谷川くん。有り難う」

俺は長谷川の差し伸べていた手を掴まず、自分の力で立ち上がった。

二人っきりってのも気まずい訳で礼も言わずに保健室を後にした。

俺は、
長谷川の善意に裏があるような気がしてならない。
長谷川の姿を、無意識に拒絶していた。

俺の頭の中は早く部屋に戻って治療することしかなかったから。


だから


長谷川が、あんな悲しそうな表情(カオ)していたなんて知らなかったんだ


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