雑食

□ 男子高校生も恋がしたい
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「なぁ、あれ」

ある日の放課後

今日はヒデノリと二人で帰っていた

いつもならタダクニもいたりするのだが今日は足早に学校を飛び出してったから

「あぁ?」

ヒデノリが指を指したのは俺たちの数十メートル先のカップルらしき二人組

「!?」

だが、俺も目をみはった

「た、タダクニじゃねーか・・・・!!」

そう、それはまさにさっきまで学校で喋っていたタダクニ

「隣の、お、お、女だよな…?」

「あぁ…」

妹じゃない。見たことない女だ

「まさか、タダクニに・・・・嘘だろ・・・」

「うそだ、嘘だと言ってくれよ、タダクニ・・・・!!」

崩れ落ちる俺。そしてヒデノリも俺の肩に手をかけた

「仕方、ねぇよ・・・事実なんだからよ・・・」

「ヒデノリ・・・」

そうして、俺たちは友情を確かめあったのだ・・・・

「何してんの・・・・」

『た、タダクニの妹!?』

そこには、俺達に手をさしのばしているタダクニの妹がいた

「立ちなよ。ほら、行っちゃうよ?いいの?」

俺達は妹の手を借りて立ち上がる

なんだか今日の妹は優しい気がする

「い、いや、俺達は別に尾行してる訳じゃねーんだ。」

「たまたま見かけちまってよ…」

くそ・・・あいつの事、友達だと思ってたのに

そう思ってたのは、俺だけだったのか!?

「・・・なら、あたしに付き合って」

『は?』

よくわからないが、タダクニ妹に引きずられるはめになったのだった

□□その頃のモトハル□□

(あ、アレは…!!)

タダクニと見知らぬ女だーっ!

二人!?ま、まさか・・・

タダクニの、彼女・・・・!?

いや、そんなことはあるまい。

男子高校に通いながら彼女ができるなんて!

それは都市伝説、あるいはイケメンの特権のはずだ

なのに、あのタダクニが?いやまさか、ありえない

不意にその時、タダクニが振り返った

「ん?あぁ、モトハルじゃんか」

「!」

ば・・・・バレたーっ!!

いや、これはチャンスだ

まさかコイツに彼女ができるなんて、そんなことはありえん

よし、こうなったら直接聞くしかないな・・・

「よ、よぉタダクニ。そ、その隣の人は?」

「え、この人?一緒にバイトしてる子。名古さん」

「な、なんだよ!!」


□□ヒデノリ・ヨシタケ□□

「・・・・・・」

「・・・・・・」

駅前のカフェにいた

何故なら、タダクニ妹につれてこられたから

だがしかし来て今だ誰も一言もしゃべらない

もう五分はこうして黙って座ってる

―――気まずい。なんだこれ、超気まずい。なにやってんの俺たち。

「ねぇ」

最初に話したのはこの主催者、タダクニ妹だった

「男子高校って、そんな彼女ができないの?」


『もちろん』

即答だった。

悲しいくらいに声もタイミングも一致した俺とヒデノリの即答だった。

「男子高校生って、二人たちみたいなのばっかなの?」

「ど、どーゆー意味だよ?」

だから、と妹はため息をつきながらいった

「パンツとか盗むやつばっか?」

『もちろん!』

「死ねっ!!」

さっきまで離れていたヒデノリの頭が真っ正面にある

何だったんだろう、さっきのゴンッて音

数秒たって理解したのは、やっぱりこの子、恐ろしい子・・・・ってこと

「もういいや・・・」

ばっと立ち上がる妹

「ど、どこ行くんだよ」

「トイレ」

歩いてった妹が不意に振り返った

そして・・・

「あ。お姉さんよんだ」

俺を指差して、そう言った

確かにそう言った

「か、帰るーっ!!」

「諦めろーっヨシタケーっ!もう腹くくれーっ」

「イヤダァァア!!!」

その日は、たぶん忘れない・・・・


■end■


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