Works〜short〜

□〜ありがとう〜
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《きっかけ》

そうそれは
小さな小さなことなんだけど

私にとっては
大きな大きなことだったんだ


例えば消しゴムを貸してくれただとか

例えばわからない所を教えてくれただとか

そんな小さなことだけど
私の中で何かが積み重なっていく

それは紛れもない事実で

だから決めたの
次こそは,積み重なった全てを彼にぶつけてみよう,と。

「お前壁に顔面衝突する気か」

後ろからかけられた言葉と握られた腕。

「ホント仕方ねェな」

振り向くと彼は呆れたように笑っていた。


覚悟は本物でしょう??
さぁ,実行に移さなきゃ。

「アギトくん」

改まった私を不思議そうに見る。

「いつも,ありがとう!!」

本当に本当に感謝してる
いつも私を助けてくれる君に

それから,もう一つ。

「好きだよ」

精一杯笑顔で言った。

ずっと,ずっと,伝えたかったの

「…ファック…」

私には彼の頬が赤く染まった気がした。

彼は私を引き寄せる。

そして抱きしめたけど,一言も言わなかった。





「ファック、先に言われるとは思わなかったんだよ」

アギトはあの時のことをそう説明した。

今,彼は私の隣にいる。
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