短編小説
□豆日和
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「ばっちゃーん。今日って何日だっけ?」
「今日は2月3日だよ」
「2月3日…」
*豆日和*
「……………」
──パラ
冬特有の柔らかな太陽が照り、澄んだ青空が広がる中
俺は故郷のリゼンブールに帰っていた。
今回は機械鎧を壊した訳じゃない。
賢者の石の情報がぱったりと無くなり情報待ちをしていた時、弟に定期メンテナンスに行く事を提案されたのだ。
全くと言っていい程メンテナンスなんか行ってなくて、俺は弟の提案に賛成する事にし、帰って来たのだが…
…その際に強暴整備士のスパナが飛び、クリーンヒットしたのは言うまでもない。
──パラ
メンテナンスも無事終わり、今俺は部屋で読書をしている。
読んでいるのは…まぁこれも言うまでもないよな。
「……はぁ…」
ふと、窓の方を見ると白いレースのカーテンが僅かに揺れていた。
さすがに寒さを感じた俺は立ち上がり窓を閉めようと歩み寄る。
その時故郷の素朴な光景が目に入り。
そして耳には小鳥のさえずりが届いた。
そのまま瞳を閉じると、なんだか体が安らぎを感じた。
「…静かだな…」
静寂…というのもたまにはいいかもしれない。