短編小説
□dream
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もう少し。
もう少しであいつらが帰って来る!
*dream*
「メリークリスマス!!!!」
パンッパーンッ!!
激しく鳴り響くクラッカーの音。
そこから出た紙吹雪の向こうにあるのは驚いたアイツの顔だった。
「…び…ビビったぁー」
外では既に雪が降り積もり、さぞかし幻想的な世界が広がっているであろう。
クリスマス…恋人達が愛を深める行事…。
「…変な顔」
「んなっ!!何なんだよお前!!人をいきなり脅かした挙げ句"変な顔"って!!!」
「だって変なんだもーん」
「まぁまぁ二人とも。折角のクリスマスなんだから喧嘩は止めようよ」
そう。
こんないつもと変わらぬやりとりしてるけど、今日はクリスマスなんだ。
だから私は美味しいケーキを作って、クラッカーまで用意してばっちゃんと一緒にエドとアルを待っていた。
(…なのに私ときたら…またついいつもの癖でエドと喧嘩しちゃった…)
…私ってホント可愛くないなぁ…としみじみ思う。
「おっ!うまそー」
そんな私の考えを一気に取り去ってくれたのはエドのこの言葉だった。
聞いただけで落ち込んでいたのが逆に嬉しくなってきた。
それは大好きな彼に喜んで貰えたから。